2話 ページ26
そのショックか、それまでの記憶は最低限のこと以外すっぽりと抜けてしまった。
その為以前の性格に合わせることも出来ず、二人を心配させてしまったのだ。
そんな二人にも記憶のことを話していないのだから、私はとんだ親不孝者だ。
前世の私は親の顔を知らずに施設にいた。
初めての親を大切にしたくて踏み出せずにいる。
黙りこんだ私に気を遣ったのか、母さんが後ろから抱き締めてきた。
「あなたがやりたいなら母さんも父さんも止める気は無いわ。あなたが意外と頑固なのも知ってるもの。ただ後悔だけはしないようにね。何かあったら頼ってね」
『…ありがとう。父さん、母さん』
何だか湿っぽい雰囲気になってしまい、母さんが明るい声をあげた。
「でも本当に変わったわね！もしかして彼氏でもできたのかしら？」
「ははっ、そんなまさか…」
『できたわよ。まだ口説かれ中だけどね』
私の言葉に母さんは嬉しそうに笑い、父さんは…固まっている。
…これは黙ってた方が良かったのかしら。
「…A、父さんたちはまだ暫く家にいるから、その間に彼氏君を連れてくるんだよ」
『…はい』
黒木君、ごめんなさい。
※※※
入学式の後、私は1年A組となった。
教室に入ると黒板に
[各自、席について、担任の教師が来るまで静かにしていること]
と書かれていた。
机にはそれぞれ出席番号が書かれてあり、私の席は教室の一番廊下側の一番後ろだった。
教室の中は男子と女子が半々くらい。
その中に立花さんもいた。
立花さんは一番窓際の一番後ろ。
あちらもこちらに気付いたので、軽く手をふる。
立花さんの右隣は男の子のようで、組んだ両腕を机におき、その上に顔を伏せて眠っていた。
教室の後ろでは女の子たちが3〜4人、はしゃいでいた。
「うっそ！マジ？それキモくね？」
その子たちの声は教室によく響いた。
すると立花さんの隣の男の子が、顔を机に伏せたままで言った。
「そこうるさい。静かにしろよ」
女の子たちはふっと話を止め、声の方を振り返った。
その中心にいた三編みをカチューシャにした子が立花さんを見る。
そして睨んでいるので、どうやら勘違いしているようだ。
教室のドアが開いて先生が入ってきたので、女の子達はサッと解散して自分の席についた。
立花さんを睨んだ子は、立花さんのすぐ前の席に座った。
先生は出入り口の傍の机に歩み寄り、手に持っていたプリントをそこに座っていた子に渡した。
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きょっちー(プロフ) - 天愛さん» ご指摘ありがとうございます！しかしそのシーンでは原作の上杉君もアーヤと言っており、何か意味があってそう呼んでいる可能性もあるため、このままでいかせていただきます。コメントやしっかり読んでくださっているのはとても嬉しかったです。これからもお願いします！ (2020年8月14日 22時) (
レス) id: f1276d6d57 (このIDを非表示/違反報告)
天愛 - 126話の上杉が立花じゃなくて、アーヤって言ってしまってます!確認してみてください(^_^) (2020年8月12日 16時) (レス) id: 74d4bab595 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 麗奈さん» 読んでいただきありがとうございます！夢主ちゃんにとても注目していただき、嬉しいです。ゆっくりではありますが、これからも更新していきますので、これからもよろしくお願いします！ (2019年10月14日 18時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
麗奈 - 私は、夢主のセリフがとても好きです。一歩引いた目線から考えたことがないので、さらに考えが深まりました。私は、黒木君推しなのでとても展開が楽しみです。これからも頑張って書いて下さい。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: 2e81cd4f4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょっちー | 作成日時：2019年8月29日 18時
