38話 ページ23
「若武のせいよ!女の子出血させるなんて!どうするの!?」
「えっと、えっと、首の後ろチョップするんだっけ?」
「それってやっちゃいけないんじゃなかった!?」
もはや私は見てることしかできない。
ところが出血沙汰でむしろ上杉君は正気に戻ったようだ。
「桜田、大丈夫か?黒木、オレ桜田の鼻押さえとくから、手を拭いてやれ」
「わかった」
「僕ウエットテイッシュ持ってるよ」
ウエットテイッシュで黒木君が手を拭いてくれ、上杉君に鼻を押さえられる…。
サッカーKZファンに見られたら、暫く静かには過ごせないわね。
『ありがとう』
「気にしないで。もとはといえば僕達のせいだから」
「とどめを刺したのは若武だけどな」
そんなことをしている間に鼻血は止まった。
上杉君と小塚君は、立花さんたちを止めにいった。
安静にしているように言われ座っていると黒木君が静かに近寄ってきた。
普段の距離より遠い…。
さっきのことを気にしているのだろうか。
『黒木君、さっきはキツく言ってごめんなさい。もう大丈夫だから』
すると黒木君は少し意地悪そうな笑顔で言った。
「近くに来てほしいって言ってよ」
…さっきの仕返しのつもりかしら?
面白い、元公安の意地を見せてあげるわ。
『彼氏にそんな遠くにいられたら寂しいわ。…でも最初に私があんなこと言っちゃったものね。近よりたくないと思われても仕方ないわ…』
花粉で潤んでいる目を伏せ、寂し気に言う。
黒木君は暫く無表情だったけれど、諦めたように近寄ってきた。
「それはずるいよ…。彼氏って口にしてくれたの初めてだし」
『そう簡単に勝てると思わないでちょうだい』
若武君の驚いたような声が響いた。
「お前ら付き合ってるの!?」
黒木君の方をチラリと見る。
黒木君も私と目を合わせると口を開いた。
「付き合ってるよ。俺の片想いだけどね」
皆が訳がわからないという顔をしていた。
『今は口説かれ期間なのよ。付き合ってるから私は他の人のところにいけないの』
「他の人って、お前相手いるのか?」
上杉君が聞いてくるが、黒木君は上杉君を少し睨む。
「俺はお前を一番警戒してるけどな」
「は?何でだよ」
上杉君は本当に訳がわからないという顔をしている。
上杉君に妬いてるような様子もあったものね。
だけど
『"上杉"は大丈夫よ。私の相棒みたいなものだから』
その言葉に上杉が一番驚いていた。
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きょっちー(プロフ) - 天愛さん» ご指摘ありがとうございます!しかしそのシーンでは原作の上杉君もアーヤと言っており、何か意味があってそう呼んでいる可能性もあるため、このままでいかせていただきます。コメントやしっかり読んでくださっているのはとても嬉しかったです。これからもお願いします! (2020年8月14日 22時) (レス) id: f1276d6d57 (このIDを非表示/違反報告)
天愛 - 126話の上杉が立花じゃなくて、アーヤって言ってしまってます!確認してみてください(^_^) (2020年8月12日 16時) (レス) id: 74d4bab595 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 麗奈さん» 読んでいただきありがとうございます!夢主ちゃんにとても注目していただき、嬉しいです。ゆっくりではありますが、これからも更新していきますので、これからもよろしくお願いします! (2019年10月14日 18時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
麗奈 - 私は、夢主のセリフがとても好きです。一歩引いた目線から考えたことがないので、さらに考えが深まりました。私は、黒木君推しなのでとても展開が楽しみです。これからも頑張って書いて下さい。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: 2e81cd4f4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年8月29日 18時