18話 ページ3
「有機ヒ素化合物らしきものは、有機ヒ素化合物だと断定できたよ。ただ、具体的な名前がまだだけどね」
若武君が椅子を蹴るようにして立ち上がり、黒板に近よって事件の名称を書き直した。
[キーホルダー有機ヒ素化合物事件]と。
そして[�い覆鵑里燭瓩帽睫�真人は有機ヒ素化合物らしきものを持っているのか]と書かれた下に、[自分を虐.待しているおじ、もしくはその一家への復.讐]と書いた。
皆は誰も反対しなかった。
「やっぱりカラスで致.死量の実験をしたんだろうな」
若武君が振り返って言うと、小塚君が頷いた。
「うん。毒でも薬でも相手の体重によって量を加減しなけりゃならないから、カラスで何度か試してみてその比率を人間に応用しようとしたんだと思うな」
若武君はカランと音をさせてチョークを放り出した。
「じゃ、これから梅津家の人間がやられるかもしれない」
黒木君が高く組んだ両脚を組みかえながら、ふっと笑った。
「カラスが死.に始めたのはかなり前のことだ。梅津家の連中はもうやられてるのかもしれないぜ」
「警察に行かなけりゃ！」
立花さんはそう言うが、若武君はとんでもないといったような表情だ。
若武君は今度こそメディアに出ることを望んでいるのだろう。
「大丈夫」
そう言ったのは上杉君だった。
「梅津家の連中は、今のところまだ全員生きてる。だが亜ヒ酸は毎日少しずつ飲ませていけば、自然.死.みたいに見せかけることもできるんだ。そうだよな、小塚」
「うん。髪に中性子線をあてて放射化分析をすれば、すぐバレちゃうけどね。でも普通はそんなことしないからさ」
立花さんは急に立ち上がった。
「じゃ早く止めなくちゃ！やっぱり警察よ！」
小塚君が大きな溜息をついた。
「だからまだ証拠がつかめてないんだってば。何もかもまだ推定にすぎないんだから」
立花さんは力が抜けたように腰を下ろした。
若武君は安心したように笑っている。
「上杉、梅津家の住所と家族構成は？」
黒木君が聞き、上杉君ポケットから小さなメモカードを出した。
「桜田町12―15―1。家族は、梅津公介43歳、妻明菜40歳、長女優子12歳。優子は、うちの小学部の塾生だ。三谷Aにいる」
「だけどさ」
若武君が両手をハーフパンツのポケットに突っ込みながら倒れるように黒板によりかかり、天井を仰いで言った。
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きょっちー(プロフ) - 天愛さん» ご指摘ありがとうございます！しかしそのシーンでは原作の上杉君もアーヤと言っており、何か意味があってそう呼んでいる可能性もあるため、このままでいかせていただきます。コメントやしっかり読んでくださっているのはとても嬉しかったです。これからもお願いします！ (2020年8月14日 22時) (
レス) id: f1276d6d57 (このIDを非表示/違反報告)
天愛 - 126話の上杉が立花じゃなくて、アーヤって言ってしまってます!確認してみてください(^_^) (2020年8月12日 16時) (レス) id: 74d4bab595 (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 麗奈さん» 読んでいただきありがとうございます！夢主ちゃんにとても注目していただき、嬉しいです。ゆっくりではありますが、これからも更新していきますので、これからもよろしくお願いします！ (2019年10月14日 18時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
麗奈 - 私は、夢主のセリフがとても好きです。一歩引いた目線から考えたことがないので、さらに考えが深まりました。私は、黒木君推しなのでとても展開が楽しみです。これからも頑張って書いて下さい。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: 2e81cd4f4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょっちー | 作成日時：2019年8月29日 18時
