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3話 ページ38

小塚君が声を潜めて聞くと、黒木君は、苛立ったように答えた。

「俺の好きな女の子のタイプを教えろってさ」

小塚君は目を真ん丸にした。

「えーっ!そんなことって突然聞かれても困るよねえ。改めて考えたことなんかないもん」

上杉君が机の上にあった消しゴムをひっくり返しながら、大きな息をついた。

「ところが女ってのは、四六時中そんなことばっかり考えたり話したりしてるんだぜ」

小塚君は一瞬、恐ろしそうな目で私と立花さんを見た。

「ほんと?」

立花さんは、曖昧に笑っている。

『人によるわよ、そんなの。少なくとも私はまだ必要性を感じないわね』

「聞かなくてもそうだよ。桜田は異例。これから中学生になると、女たちはますますひとりで行動しなくなって、たいていは2〜3人でつるんでさ、よるとさわるとキャアキャアはしゃいで、対して可笑しくもないのに笑い転げるようになる。それで頭の中は、好きな男のことだけでいっぱい。でも、それはまだいい。いちばん最低なのは、そんな自分自身のことを自分で可愛いって思っちまってることさ」

肩をすくめた上杉くんは、この世に女なんかいなければいいと言わんばかりの表情だった。

相当、拗らせちゃってるな。

「とにかく答えなくてよかったよ。例えば今、黒木が何か言うだろ。するとあいつらは、そのことをずっと忘れない。ところがこっちは生きて成長してるし、毎日新しい経験をしてるんだから、好みだって当然変わっていくだろ。で、それが何かの拍子にバレたりすると、ひっどーい、嘘つき、あなたの言葉を信じてたのにぃ、なんて非難ゴウゴウになるに決まってるんだから」

小塚君が少し首を傾げた。

「でも、なんだって急に、そんなこと聞きに来たのかな」

黒木君は両腕を空中に伸ばして、頭の後ろで組んだ。

「後少しで卒塾で、会えなくなるから聞いておきかったんだってさ。俺、自分の好きな子にならすぐ答えるよ。君が好きだってさ。だけどそうじゃない連中に、そんなこと公表する義務はないからな。どんな子が好きかなんて、けっこうデリケートな問題じゃないか。集団でいきなり来て、答えを聞くことができるなんて思うほうが可笑しいよ」

「賛成」

きっぱりと言って上杉君が立ち上がり、空中に大きく両腕を伸ばした。

「ジュク終わったらさ、若武のとこ行ってみようか」

小塚君がコクンと息をのんだ。

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きょっちー(プロフ) - レイさん» コメントありがとうございます!惚れましたなんてそんな(///∇///)ありがとうございます!これからも読んでくださいね〜 (2019年8月8日 19時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 甘納豆さん» 返信遅くなってごめんなさい!ありがとうございます。これからも頑張っていきます! (2019年8月8日 19時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
レイ - きょっちーさん» この小説を読んだ瞬間貴女に惚れました←w 更新頑張って下さい! (2019年8月8日 18時) (レス) id: fd2024614f (このIDを非表示/違反報告)
甘納豆(プロフ) - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください!楽しみに待ってます! (2019年8月7日 20時) (レス) id: a4b65807ec (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - ちーさん» コメントありがとうございます!頑張っていくので、待ってて下さいね♪ (2019年8月6日 12時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きょっちー | 作成日時:2019年7月24日 15時

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