警察官でした。〜ルパン三世VS薊の少女〜

14話 ページ14

王子が身を乗り出して顔を近づけてきた。

「…なら、そのお姫様、惚れ直させよう」

そう言ってオレの腕をつかんで立ち上がった。

「え、ちょっと…」

※※※※

会議室に高木が戻ってきた。

「目暮警部、配置、完了しました。これで、王子が見つかるのも、時間の問題でしょう」

嬉しそうに報告している時、出入り口から毛利が声をかけた。

「おい高木、Aちゃん見なかったか」

「Aちゃんいないんですか？」

高木のその言葉に、毛利は苦々しげにつぶやいた。

「あいつ、勝手に行ったな…」

※※※
貴和side

公園の中にある男子トイレで、オレは今、王子に脱がされている。

「ちょっ、何するんですか？！」

「いいじゃないか。へぇ、結構いい体してるんだな」

「それはどうも…」

何でこんなことに…？

10分後。

鏡の前で王子がブローチを着けてくれる。

「よし、できたぞ。これで、おまえも今日から王子様、ってな」

鏡には白い軍服と赤いマントをまとったオレの姿が映っている。

王子はオレの学校の制服を着ている。

「すごいですね。これって結構重い…って、あ？！」

鏡から王子に視線を向けるが、王子の姿は無い。

トイレから飛び出して声を上げる。

「王子様？！」

近くの歩道橋の上から、王子が手を振っている。

「パーティー終わる頃に戻るから！」

「ダメです、困りますって」

「早く戻らないと、さっきのボディーガード、来るかもな」

そう言って王子は走っていってしまった。

「ウッソだろ…」

額に手を当てていたオレは王子の心の内を知らなかった。

「(戻らないんだな…これが)」

※※※

ホテルの周辺をゆっくりとスケボーで走ってきたが、王子は見つからない。

甘かったかしら…。

正装のままだっていうから、すぐ見つけられると思ったのに。

その時、前方に見知った制服を着た、大好きな後ろ姿が見えた。

走りよって声をかける。

『貴和、貴和ってば』

やっとこちらを振り返った貴和は、何だか様子がおかしい。

『遅かったわね。園子さん、怒ってたわよ』

「貴和？おまえ、パーティーにいた…」

…何かおかしい。

集中して目を見ると、私への好意の色がない。

『え？って、ええっ？！』

この人、メル王子？！

王子は私が気付いたのを察したらしく、猛スピードで駆け出していった。

『あ、ちょっと待って！』

私も急いで後を追いかける。

ヤバい、貴和だと思って完全に気を抜いてた…。

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