1話 ページ1
澄み切った青空の下、古いバンが首都高速を横浜方面に走っていた。
そのバンはガタゴトと揺れながら走り、その横を何台もの車が追い越していく。
「クソッ。また抜かれた!」
運転してくれている毛利さんは、追い越していく大型トラックをうらめしそうに横目で見た。
二列のバックシートには前に私、立花さん、小塚くん。
後ろに若武くん、黒木くん、上杉が乗っていて、バンの堅いサスペンションのせいで道路の継ぎ目を通過するたびに体が上下に揺れる。
「借りるならもっといい車は無かったのかよ」
ぼやく若武くんの方をふり返る。
『仕方ないでしょう。中学生6人が乗れる車が、これしか無かったのよ』
助手席に座っていた父さんも、こちらをふり返る。
「電車にすればよかったな。依頼主がなぜか君たちも連れてくるようにって言うからね。車の方が楽かと思ったのだが」
「いえ、実際、乗り換えが無い分楽ですよ。若武は文句言いすぎだ」
黒木くんが若武くんをなだめていた時、小塚くんが窓の向こうを指さした。
「アレじゃないかな。ミラクルランド!」
窓の外に見えたのは、海に隣接したレジャーパーク[ミラクルランド]。
大きな観覧車の奥には、まるで巨大な蛇のような形をしたジェットコースター[スーパースネーク]のレールが、海に飛び込むように突き出している。
後ろの上杉たちもそれに気づき、おおと声を上げる。
「早く乗りてぇな、スーパースネーク!」
「すごいな」
「怖そうだね」
「本当に乗るの?」
「さすがミラクルランドの目玉のコースターだな」
反応がバラバラだが、みんな楽しみなことには、変わり無さそうだ。
※※※
ミラクルランドの隣に建てられたホテル[レッドキャッスル]の正面玄関前に毛利さんがバンを停めると、みんなが車から飛び出し、目の前にそびえる西洋の城のようなホテルを見上げた。
「わぁ!すごい」
「本物の城みたいだな」
「よく出来てるね」
上杉が道路を挟んだ向こうを見ながら言う。
「本当にミラクルランドの真ん前なんだな」
『そうね。長期滞在して豪遊してる王様気取りが住んでそうよね』
「こらこら。でもこのホテル、宿泊者数が十万人を突破するって言ってたな」
「ほぉー、結構繁盛してんだな」
黒木くんの言葉に、毛利さんは腕を組んでホテルを見上げた。
私がふと足元を見ると、色紙のような紙切れが二、三枚落ちていた。
『みたいね』
それを拾い上げ、父さんに見せると、父さんも笑う。
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華菜原 舞衣 - こちらこそです。 (2020年5月27日 12時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 華菜原 舞衣さん» こちらでもコメントありがとうございます!コナンが出てこないのは、その立ち位置に夢主ちゃんがいるからです。なので哀ちゃんや少年探偵団、蘭も出ません。KZのみんなと黒木くんがいるので。「らーんっ!」が「貴和ーっ!」になってます。これからもお願いします! (2020年5月27日 12時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - うぇ〜いこちらも初コメだ〜いっ警察官でした、も、引き続きがんばれぇい!←毎回キャラ崩壊してる人 PSこれってなんでコナンでてこないの? (2020年5月27日 12時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年5月20日 22時