535話 ページ41
「その場限りの仕事だから、古いグループに入ってても、そこから抜けなくていい。
だから簡単に引きうけるんだ。
不良グループを抜けるって、それなりに大変なものがあるからね。
でもこれ、不良グループの未来形かもしれない。
これからの不良って、そうなっていく気がするな」
少しだけ感嘆したように言って貴和は、息をつき、すぐ元の口調に戻った。
「群れてタバコ吸ってんのは、古いグループの連中で、その中の何人かが、怪人Xの仕事を受けたことがあるって状態。
その話が出ると、皆がやりたがって、それで仲間が増えていくらしい。
全員が集合することはないってことだったから、俺たちを襲撃したって情報は、まだ届いていないんだ。
やっぱりあれは、怪人Xにとっては、初めての仕事だったってことだよ」
和臣が、ふっと空中をにらんだ。
「つまり怪人Xは、今までしなかったことをしたってことか。それは、何のためだ」
貴和が少し笑った。
「決まってる、何か新しい仕事をするためだ。
怪人Xはおそらく、今まで個別に使っていた不良たちを集めたらどれだけの仕事ができるか、それを試したんだ。
つまり新しい仕事を考えてて、その予行演習ってとこだろ」
「上等じゃん」
和典が片手の中指で、メガネのフレームを押し上げた。
「思いっきり、後悔させてやる」
和臣が、考えこんだ口調でつぶやく。
「問題は、何をしようとしているかってことなんだよな」
和彦が、貴和を見た。
「今まで怪人Xは、不良たちに何をさせてたの」
貴和は、肩をすくめた。
「[出し子]らしい」
それで皆は、思いっきり大きくうなずいた。
「不良たちに、かなりの金を払えるって、そういうことか」
「あれって、100万単位で金が入るって聞くもんな」
「この間、3000万なんてのも新聞に載ってたよ」
『上手くやれば、ローリスクハイリターンだしね』
「状況は、だいたいわかった。だけどさ」
和臣が片手を上げ、くちゃくちゃっと髪をかき回した。
「この事件、どこから突っこむよ。まるっきり糸口がないじゃん」
「その総長に言って、怪人Xと仕事をしたことのある不良を紹介してもらえば、そこから何か聞き出せるんじゃない?」
立花さんが言うと、貴和は首を横に振った。
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華菜原 舞衣 - うわっ48分前っありがとうございます!楽しみにしてます。 (2020年5月27日 12時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 華菜原 舞衣さん» コメントありがとうございます!前世ユズリ…お仕事でやっていたんです。前世譲りの知識やテクはこれからも登場します。楽しみにしていてくださいね! (2020年5月27日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - ひーとさん» コメントありがとうございます!これからは黒木くんの謎がさらに深まるのか、夢主ちゃんが過去を話す日は来るのか、ご注目ください。これからもよろしくお願いします! (2020年5月27日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - 夢主の前世ゆずりのテクって・・・前世でもやってたってこと!?オソルベシ・・・更新、楽しみにしてます。がんばってください。 (2020年5月27日 10時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
ひーと - 黒木くんの過去が良い感じに仲を深めましたね〜。めっさキュンキュンします。此れからも楽しみにしています。更新大変だと思いますが、頑張ってください! (2020年5月26日 1時) (レス) id: c8f6957e50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年5月20日 19時