528話彩side ページ34
私は、あっけにとられながら4人を見まわした。
何、この、だらしなさって…。
男って、こういうもの?
「黒木だって、真っ先に落ちるタイプだろ」
若武が言うと、黒木クンは、クセのない髪をサラッと乱して首を横に振った。
「いや、オレは特定の相手以外落ちないよ」
その顔は、自信に満ちていた。
「おーお、カッコつけやがって」
「ま、確かにあいつのハニトラ見慣れてちゃ、なかなか落ちないだろ」
桜田さんか…。
1回シミュレーションで告白されたけど、女の子の私もドキドキした…。
「オレが考えた名案は、つまり、こうだ」
若武が身を乗り出して私たちを見まわした。
「バレンタインに、アーヤから砂原にチョコを渡すってことにする。どんな男でも、たとえ不良だって、チョコを渡しにきた女にかみつきゃしないぜ。その機会を利用して、アーヤは、できるだけの情報を引き出すんだ。そのくらい、大丈夫だろ」
私は、息を呑みながらうなずいた。
それがきっと、砂原のためにもなるに違いないって思えたから。
それに私は、ずっと前、砂原にチョコレートを渡そうかと考えたことがあった。
その後、遠い存在になってしまっていたから、今年は初めっから頭になかったんだけど。
でも、この際、砂原にしよう、もう決めたっ!
この瞬間、一気に、胸がすっとした。
ずっと抱え続けていたバレンタインのストレスから解放されたんだ。
すっきりした気分で、私は言った。
「わかった」
直後、若武以外の皆から、いっせいにブーイングが起こった。
「やめろ」
「アーヤをハニートラップの餌にしたくない」
「ボクも断固、反対」
若武は、人指し指を立て、チッチと言いながら振り動かした。
「親愛なる諸君、文句を言うのはやめて、立花調査員の犠牲的精神に拍手を送ろうではないか」
皆が、心配そうな顔で私を見る。
私は、ニッコリ笑った。
「大丈夫。ちょうど今年は、砂原に渡したいって思ってたところだったし」
不安もあったけれど、砂原のために何かしたかった。
応援したいもん。
「ん?若武先生、どうした」
上杉クンの声が上がり、目を向けると、若武が、すごくみじめな顔をしていた。
「マジで砂原にやろうって思ってたのか。オレにくれずに、砂原って…ひでぇ!」
皆が笑い出すほど、若武は真剣にオチこんでいた。
しばらく笑って少し落ち着いた時、上杉クンが真剣な顔で、若武に向かって身を乗り出した。
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華菜原 舞衣 - うわっ48分前っありがとうございます!楽しみにしてます。 (2020年5月27日 12時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 華菜原 舞衣さん» コメントありがとうございます!前世ユズリ…お仕事でやっていたんです。前世譲りの知識やテクはこれからも登場します。楽しみにしていてくださいね! (2020年5月27日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - ひーとさん» コメントありがとうございます!これからは黒木くんの謎がさらに深まるのか、夢主ちゃんが過去を話す日は来るのか、ご注目ください。これからもよろしくお願いします! (2020年5月27日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - 夢主の前世ゆずりのテクって・・・前世でもやってたってこと!?オソルベシ・・・更新、楽しみにしてます。がんばってください。 (2020年5月27日 10時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
ひーと - 黒木くんの過去が良い感じに仲を深めましたね〜。めっさキュンキュンします。此れからも楽しみにしています。更新大変だと思いますが、頑張ってください! (2020年5月26日 1時) (レス) id: c8f6957e50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年5月20日 19時