526話 ページ32
「警察に届けたら、Aもヤバい。下手すりゃAのほうが捕まるぞ」
和典が呆れたような顔をした。
「色々って濁すなと思ったら、おまえが何かやったのかよ」
『それが、私は全く覚えてないのよ。自分の力の限界をあまり把握できてないし…。ねぇ、私どれだけやったのよ?』
和臣が苦々しげに返す。
「おそらく4人は病院通いだ。…1ヶ月ほどな」
…うわぁ。
私は思わず額に手を当てた。
『ごめんなさい。まさか、そこまでやってるなんて…』
「いや、構わん。とにかく、この事件はKZが扱う。何が何でもオレたちがやる」
貴和が、あの時のことを思い出すような顔をした。
「砂原も、こっちに気付いたはずなんだけどね。近寄ってこなかったな」
「砂原のヤツ」
和典が舌打ちした。
「何やってんだよ。一般応募の模試で好成績を取って、秀明に来るんじゃなかったのか。不良に混じって煙草吸ってる場合か」
和臣が目を見張った。
「おい上杉先生、めずらしく熱いな。どうしたんだ」
からかわれた和典はブスッとし、目を伏せて黙りこむ。
「でも、かわいそうだよ、砂原」
和彦が口を開いた。
「実の親があんなだったし、その後もひどくて事件続きだろ。今も、落ち着ける家庭がないのかもしれないし」
「砂原に接触して、事情を聞いた方がいいと思う。もし不良グループに入ってるのなら、抜けさせないと」
和臣がうなずく。
「じゃ今回の目的は、リベンジと、砂原の救出だ」
瞬間、和典が素早く目を上げた。
「必要ねーよ」
ギンとみんなをにらみ回したその眼差には、恐ろしいほどの力がこもっていた。
「そんなこと、言うなよ」
和彦がおどおどしながら、すがるように和典を見た。
「砂原は、友だちだろ。助けてやろうよ」
和典は、かすかに笑った。
「世の中には、色んな不幸があるさ。でもオレは、」
そう言いながら笑いを消し、真剣な表情になった。
「自分の不幸を理由に甘えてるヤツが、大ッ嫌ぇなんだよ」
たたきつけるように言って、横を向く。
その迫力に皆は呑まれて、言葉を失った。
実際にそこから立ち直った和典だからこそ、その言葉は重い。
「私、前にね」
そう言いながら立花さんは、皆を見回した。
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華菜原 舞衣 - うわっ48分前っありがとうございます!楽しみにしてます。 (2020年5月27日 12時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 華菜原 舞衣さん» コメントありがとうございます!前世ユズリ…お仕事でやっていたんです。前世譲りの知識やテクはこれからも登場します。楽しみにしていてくださいね! (2020年5月27日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - ひーとさん» コメントありがとうございます!これからは黒木くんの謎がさらに深まるのか、夢主ちゃんが過去を話す日は来るのか、ご注目ください。これからもよろしくお願いします! (2020年5月27日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - 夢主の前世ゆずりのテクって・・・前世でもやってたってこと!?オソルベシ・・・更新、楽しみにしてます。がんばってください。 (2020年5月27日 10時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
ひーと - 黒木くんの過去が良い感じに仲を深めましたね〜。めっさキュンキュンします。此れからも楽しみにしています。更新大変だと思いますが、頑張ってください! (2020年5月26日 1時) (レス) id: c8f6957e50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年5月20日 19時