525話 ページ31
立花さんははっとしたような顔になって、しばらく考えて言った。
「じゃ、リベンジ、でどう?」
『OK』
「了解」
和典がそう言い、貴和や和彦もうなずき、和臣も納得したようだ。
立花さんがノートのその部分を書き直して、読み上げる。
「目的は、不良グループにリベンジし、グループを壊滅に追いこむこと」
読み終わると、和臣が満足したように言った。
「オッケ。じゃ調査にあたるメンバーを決める」
そして、チラッと貴和に目をやった。
「その前に、黒木から、報告があるって」
おまえが言えという名指しを受けて、貴和は、気が重そうに息をついた。
テーブルに両腕を置き、指を組み合わせて、目を伏せる。
「昨日のことなんだけど」
半分ほど伏せられた目に、長いまつ毛の影が落ちて、青く見える。
「襲撃犯の中に…、砂原がいた」
「マジ?」
和典が身を乗り出して聞いた。
「間違いなく、砂原だったわけ?」
貴和は、ゆっくりとうなずいた。
「若武とAはちょっと離れたところでそれぞれ3人を相手にしていて、オレはオレで、やっぱり3人に囲まれてたんだ。
ちょっと手こずってたら、その間に、跡をつけてきたヤツらの何人かが駆けつけてきてさ、タバコ片手に観戦を始めたんだ。
そいつらが参加したら、もう勝ち目なんかない。
数が多すぎるからね。
やられるしかないだろ。
だから、連中が出てくる前に3人を倒して素早く逃げようと思って、観戦メンバーの様子を気にしてたんだ。
それでその中に、砂原の顔を見つけた。
一瞬、気を取られてさ」
貴和は、少し苦しそうな顔になった。
「直後に、一発やられた。その後色々あって不良は逃げたから、ひとまず解散したんだ」
和臣が、気の毒そうに口角を下げた。
「黒木のそこ、すげぇ深く切れてんだぜ。石で殴りやがったんだ。傷が残ると思うよ」
立花さんは、びっくりしたように貴和を見た。
「ほんとに?ひどいじゃん」
貴和は、たいしたことはないといったように軽く首を振った。
「オレのことは、気にしなくていい」
「警察に届け出た方がいいんじゃない?」
そう言った立花さんに、和臣が気色ばんで反論した。
「おまえなぁ、こんなにやられたってのに、警察なんかに後始末を任せろって言うのか。冗談じゃない。絶対、オレたちの手で借りを返してやるんだ。そうでなかったら、男じゃねぇ!それに…」
和臣はチラッと私を見てから、声を潜めて言った。
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華菜原 舞衣 - うわっ48分前っありがとうございます!楽しみにしてます。 (2020年5月27日 12時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 華菜原 舞衣さん» コメントありがとうございます!前世ユズリ…お仕事でやっていたんです。前世譲りの知識やテクはこれからも登場します。楽しみにしていてくださいね! (2020年5月27日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - ひーとさん» コメントありがとうございます!これからは黒木くんの謎がさらに深まるのか、夢主ちゃんが過去を話す日は来るのか、ご注目ください。これからもよろしくお願いします! (2020年5月27日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - 夢主の前世ゆずりのテクって・・・前世でもやってたってこと!?オソルベシ・・・更新、楽しみにしてます。がんばってください。 (2020年5月27日 10時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
ひーと - 黒木くんの過去が良い感じに仲を深めましたね〜。めっさキュンキュンします。此れからも楽しみにしています。更新大変だと思いますが、頑張ってください! (2020年5月26日 1時) (レス) id: c8f6957e50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年5月20日 19時