524話 ページ30
「暴走族なら連合するから、限りなく大きくなるけど、不良の規模って、小せぇんだよな。まず実態調査じゃね?メンバーの名前と数の特定。それから他にも何かやってるに違いないから、その洗い出し」
和臣が、ふっと不敵な笑いを浮かべた。
「あいつらが他にも事件を起こしているとしたら、すげぇよ」
その目は期待でキラキラと輝き始めていた。
「それをやっつければ、オレたちは英雄だ。きっと、今度こそテレビや新聞で報道されるぞ」
私たちは、思わず顔を見合わせた。
前回の事件で懲りてないのね…。
和典は露骨にいやな顔をしていたし、貴和もため息をつかんばかりだった。
「まぁまぁ」
和彦が、なだめるように皆を見回す。
「これが若武らしさなんだから」
まったく…。
「グループなら、頭がいるはずだ。誰なのか調べたほうがいい」
「オレが気になってるのは、」
和臣が頬杖をつきながら、もう一方の手の指で、コツコツとテーブルをたたく。
「昨日、上杉と黒木、Aが言ってたことだよ。連中のタバコ代は、どこから出ているのか。それに、どうやってタバコを入手しているのか。アーヤ、記録見せて」
和臣は立花さんからノートを受け取り、ざっと目を通してからバサッとテーブルに放り出した。
「何だよ、これ」
人指し指で、[目的]のところをパチンとはじく。
「たたきつぶすって言っただろ。そう書けよ。[解散させる]じゃねーよ」
そう言いながら、その目を凜と光らせた。
「書き直せ」
そうさせずにはおかないというよな強引な言い方だ。
「やれよ」
「そんなセンスない言葉は、使えない。国語のエキスパートとして絶対、認められないから」
「おまえなぁ」
瞬間、和典が口を切った。
「いいじゃん。言葉は、立花の守備範囲だろ」
和彦も言った。
「そうだよ。いいよ、解散で」
貴和も、うなずく。
和臣は我慢できないといったように叫んだ。
「おまえらなぁ、オレの身にもなってみろよ」
そう言いながら、立てた親指で、真っ青になっている片目の周りを指す。
「痛いんだぞ、ここ。昨日なんか眠れなかったんだからな。ちっきしょう、あいつら。たたきつぶす以外にあるかっ!」
そこで何かがツボに入ったのか、 立花さんは笑いだした。
「笑うなっ!」
立花さんの笑いは収まらず、和臣はむくれている。
仕方ないわね…。
『立花さん、和臣が満足できて、あなたも納得できるような言葉ってないのかしら。例えば、壊滅とか』
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華菜原 舞衣 - うわっ48分前っありがとうございます!楽しみにしてます。 (2020年5月27日 12時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 華菜原 舞衣さん» コメントありがとうございます!前世ユズリ…お仕事でやっていたんです。前世譲りの知識やテクはこれからも登場します。楽しみにしていてくださいね! (2020年5月27日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - ひーとさん» コメントありがとうございます!これからは黒木くんの謎がさらに深まるのか、夢主ちゃんが過去を話す日は来るのか、ご注目ください。これからもよろしくお願いします! (2020年5月27日 11時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
華菜原 舞衣 - 夢主の前世ゆずりのテクって・・・前世でもやってたってこと!?オソルベシ・・・更新、楽しみにしてます。がんばってください。 (2020年5月27日 10時) (レス) id: 7aa09cf11b (このIDを非表示/違反報告)
ひーと - 黒木くんの過去が良い感じに仲を深めましたね〜。めっさキュンキュンします。此れからも楽しみにしています。更新大変だと思いますが、頑張ってください! (2020年5月26日 1時) (レス) id: c8f6957e50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年5月20日 19時