警察官でした。11

513話 ページ17

「昨日、長尾さんからその電話があった後、もう真夜中だったけど、オレ、あの家に行って菜穂ちゃんと話したんだ」

皆が、目を丸くした。

「今日の逮捕のこと、モラしたとか？」

和典がつぶやくと、和臣は首を横に振った。

「いや、病気のことについてだけだ。
これから警察が入ったりすると、菜穂ちゃんも動揺するだろうから、その前のほうが冷静に聞いてもらえるかと思ってさ。
よく話したら、わかったみたいだった。
自分でも収まりがつかなくて、この先、自分がどうなっていくのか不安に思ってたらしい。
両親が離婚の話し合い中で、家にいるのも疲れるから、できれば入院したいって言ってた。
だから明日の夕方までに病院に行くように言ったんだ。
わけは話せないけど、オレを信じてそうしてよって言ったら、うなずいてた。
そうするって。
今夜、母親に話して入院を決めて、明日、最後の登校をして、コンビニやスーパーにグッズを返して、夕方までに病院に行くって。
アーヤに、ありがとって伝えておいてって言ってたよ。
アーヤには、いろいろと迷惑かけて、ごめんって。
退院できたら、今度こそ友だちになってねって、さ。
入院してるんだから、お見舞いに行けばいいよ。
皆でさ」

和臣がそう締めくくると、貴和が少し笑った。

「若武先生は、彼女と付き合うことにしたの？」

「いや」

和臣は、わずかに肩をすくめた。

「付き合わないことにした。趣味が違いすぎてさ。話がもたなくって、すごくまいったもん。向こうも、ちょっと困ってたみたいだったし。それに最後に、こう言われたんだ。私の理想は背の高い人なんだけど、若武君って近くで見ると、思ってたよりかなり低いねって」

皆が一気に笑い出して、あっという間に大爆笑になった。

「つまり若武先生、フラれたんだ」

うれしそうに言った和典は、立ち上がった和臣にヘッドロックを食らった。

でも和典だけじゃなく、小塚くんも貴和も、立花さんもうれしそうだった。

KZがどうなるのか、皆、心配してたのね。

「あ、すっかり忘れてたけど、上杉の帰国祝賀会は？」

小塚くんが言い、皆がはっとその事を思い出す。

「そういえば、やることになってたよな」

貴和もそう言い、和典は、和臣に締め上げられながら嘆いた。

「皆、ひでぇ…」

和臣が和典から腕を放し、自慢げに自分を指さす。

「オレは忘れてないぜ。ちゃんと考えてある。リーダーだからな。今週の土曜日、オレんちで開くから、皆、来いよ」

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