439話 ページ43
「あそこには、わりと貴重なものがあるんだ。この市の周辺で発掘された化石とか、九州の姉妹都市から贈られた標本とかね。その割に警備が手薄だから、前から僕、こんなことでいいのかって心配してたんだよ」
「まぁ、そっちは警察に任せよう」
若武くんは、音をさせて携帯を折りたたみ、ズボンの後ろポケットに差しこんだ。
「俺たちは[裏庭ゴミ投棄事件]の解決に全力をつくすんだ」
そう言いながら立花さんのノートを取りあげて、その図の中の、ゴミが捨ててあった場所を指さした。
「誰が、何の目的で、ここにゴミを捨てたのか、それが間題だ。オレが掃除した後だから、オレを陥れようとしたのかもしれない。なにしろオレは、サッカーチームKZの花形だし」
『それなら、もっと効果的な方法なんていくらでもあるわ。ロッカーや靴箱を狙ったり、ガラスでも割って若武くんに押しつけたり。わざわざ裏庭にゴミをまいて教師に発見させ、説教させるなんて、遠回りで不確実すぎるわ。チクられた訳じゃないんでしょ?』
すると若武くんは納得したようにうなずいたけれど、いかにも不満そうだった。
「じゃ、何のためだよ」
『さぁ。もしかしたら、若武くんの存在自体は関係ないかもしれないわね』
小塚くんがふっと言った。
「そのゴミ、どこから持ってきたんだろう。だって、そんなの運んでたら、目立つだろ。放課後だったら、校庭や裏門あたりには生徒がいたはずだし、誰かが目撃してるんじゃないのかな。」
若武くんが、パチンと指を鳴らした。
「よし、部活で残ってた連中に聞いてみよう。明日、報告するよ」
小塚くんがほっとしたような顔つきで言った。
「じゃ当面、僕たちのすることって、ないんだよね」
「おまえら、ほんとにやる気あんの?いやがってんじゃない?」
小塚くんが慌てて言った。
「とにかく若武の報告に期待してるよ。それを踏まえて、今後の方針を決めよう」
「ん、報告を待ってるから。若武、頑張って!」
おそらくこの2人、やる気ないな。
2人が出ていってから、私は若武くんにメモを渡した。
『そのメモの通りの調査もやってみて。クラスメイトの目撃情報。他クラスに当番を聞かれたか。該当者がいれば、調べてみて』
「わかった。おまえはどうするんだ」
『若武くんが内部を調べてくれるなら、私は外部を調べてみるわ。現場は道路ぞい。その気になれば、外部の人間がゴミを投げ入れることも可能だろうから』
「了解。助かる」
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ライ(プロフ) - 「まず桜田の家で、東大の卒業生名簿を見た。浪人している可能性も考えて、前後の年代も見てみたけれど、望月孝太郎の名前はどこにもなかった。あの人は、東大を出てないね」 みんなは、うなずいた。 それは、保険証からも確認できている。の部分が重複してますよ! (2021年3月26日 14時) (レス) id: 65b1e4f8ab (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - manaさん» コメントありがとうございます!まだまだ拙いこの作品を気に入っていただけて嬉しいです。その応援を糧にこれからも頑張っていきます! (2020年3月30日 18時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
mana - 私この作品大好きです!ものすごく面白いです!更新楽しみに待ってますので頑張ってください!応援してます (2020年3月30日 18時) (レス) id: ecb2e4c19d (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 透架さん» コメントありがとうございます!神作とまで言っていただけて本当に嬉しいです。これからも頑張っていくので、応援よろしくお願いします! (2020年3月21日 13時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
透架(プロフ) - 最近kzの小説が減ってきてて漁りまくってたら神作に出会いました!!すごく面白いです!更新頑張ってください!! (2020年3月21日 12時) (レス) id: 2be61dc08d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年3月20日 13時