434話 ページ38
「いいさ。でも上杉のことは、オレたちにはどうすることもできない問題だからね。ここで話しててもしかたないよ。気が重くなるだけ」
「上杉クン、今日、秀明に来てる？」
立花さんの問いに、私たち全員が首を横にふった。
「来たくないんじゃ、ね？」
「来たくても来られないってこともあるし」
「ん、注目度、すごいからね」
『そんな中、無理してくることもないわ』
「ずいぶんなこと、いってる子もいたけど」
貴和が少し皮肉な笑い方をした。
「まぁ、仕方ないよ。考えてみてごらんよ。みんな、上杉の点数を見せつけられて、圧倒されて、ちょっとかなわないなって気持ちで尊敬してたんだ。いわば、力でねじ伏せられてるようなものだからさ。その上杉が落ちたってことになると、尊敬の気持ちが一気に軽蔑に変わるんだ。あたりまえだろ。上杉のことを理解してるわけじゃないし、友だちでもないんだから」
そういうとこ、結構シビアよね。
「でも上杉クンは、何で、50番以上も一気に落ちたの」
『どの教科もそうだけど、トップあたりって、いつも接戦状態なのよ。同点で並んでる生徒が5〜8人いるのもめずらしくないわ。多いと25、6人なんてこともあるの。だから計算問題を1問間違えるだけで、20番ぐらい落ちるのはよくあるわ』
私の言葉に、小塚くんが続ける。
「上杉は、そのトップ周辺の連中を、いつも圧倒的な力で押さえつけてダントツ１位だったんだ。今回は、きっと計算問題を2、3問ミスったんだと思うな。それで50番くらいは軽く転落するから。もし文章問題をミスしてたら、50番じゃすまない。100番は落ちてると思うよ。でも上杉が文章問題をミスるなんて、あんまり考えられないから」
すると、若武くんが力なく言った。
「計算問題をミスるってことも、あまり考えられないんじゃね？あの上杉だぜ」
貴和がうなずく。
「そういうミスは、若武先生の得意分野だ」
若武くんは、ムッとしたように貴和をにらんだ。
その視線もいつもよりキレがない。
「確かに上杉は、ミスるようなヤツじゃないけど」
小塚くんが困ったような顔つきになった。
「でも、ミスッたとしか考えられないだろ。実際に、トップから転落したんだから」
ミスっただけなら和典なら次で挽回できるだろう。
怖いのは、別の理由があることだ…。
若武くんが、くやしそうに言う。
「聞けねぇし…」
ま、そうよね。
これだけ大きな変化なら、みんなも戸惑うわよね。
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ライ(プロフ) - 「まず桜田の家で、東大の卒業生名簿を見た。浪人している可能性も考えて、前後の年代も見てみたけれど、望月孝太郎の名前はどこにもなかった。あの人は、東大を出てないね」 みんなは、うなずいた。 それは、保険証からも確認できている。の部分が重複してますよ！ (2021年3月26日 14時) (
レス) id: 65b1e4f8ab (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - manaさん» コメントありがとうございます！まだまだ拙いこの作品を気に入っていただけて嬉しいです。その応援を糧にこれからも頑張っていきます！ (2020年3月30日 18時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
mana - 私この作品大好きです！ものすごく面白いです！更新楽しみに待ってますので頑張ってください！応援してます (2020年3月30日 18時) (レス) id: ecb2e4c19d (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 透架さん» コメントありがとうございます！神作とまで言っていただけて本当に嬉しいです。これからも頑張っていくので、応援よろしくお願いします！ (2020年3月21日 13時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
透架(プロフ) - 最近kzの小説が減ってきてて漁りまくってたら神作に出会いました！！すごく面白いです！更新頑張ってください！！ (2020年3月21日 12時) (レス) id: 2be61dc08d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょっちー | 作成日時：2020年3月20日 13時
