415話 ページ19
土曜日の今日、望月が不在ということで、望月家のダイニングに集まった。
もうすっかり改装が終わったそこは、暗い部屋になっていた。
あの写真とまったく同じだ。
「では、小塚調査員から報告を」
若武くんの指示で、小塚くんがテーブルに腕をついてみんなを見まわした。
「電話でも言ったけれど、砂原君の髪には三酸化ニヒ.素が残留していた」
砂原くんは、まいったというように髪をかき上げる。
そして自分を見ていた立花さんに気づき、髪をつかみひらひらとゆすった。
「飛ばすぞ、ヒ.素」
若武くんがセキばらいする。
「そこ、小学生のノリはやめろ」
砂原くんは肩をすくめ、口をつぐんだ。
「立花調査員、記録の中から、いまだに解明されていない点を読みあげてくれ」
まぁ、ほとんど全部だけどね…。
「全部で6点です。
その1:望月孝太郎は、なぜ卒業大学を偽り、また職業を偽っていたのか。
その2:ぜいたくな暮らしを支えている資金を、どこから得ているのか。
その3:なぜ兄の存在を隠していたのか。
その4:なぜ13歳の少年を里子にしたがっていたのか。
その5:なぜ殺害が起こった時の部屋を今、再現したのか。その6:庭のモミの木が気にいって、この家を買ったほどだったのに、それを切って今年のクリスマスツリーにしてしまって、来年はどうするつもりなのか」
立花さんが言い終わるのを待って、黒木くんが砂原くんの方を見た。
「望月孝太郎の貯金通帳を見たいんだ。どこにあるか、わかる?」
砂原くんは軽くうなずき、立ちあがった。
「たぶん、こっち」
私たちが後についていくと、砂原くんはやはり2階のあの部屋に入っていき、机の前に立った。
「ここ」
カギのかかったあの引き出しを指さす。
黒木くんが手をかけ、カギがかかっているのを確認してから聞いた。
「カギは?」
砂原くんは少し笑った。
「探してみる?この部屋は、[ララミー物語]の部屋で、その再現なんだ。だからカギも、物語と同じ場所に隠してあるよ」
『それが聞ければ、充分よ』
私は飾ってあるトロフィーやカップの方に向かった。
はしから3番目に置いてあるカップを手に取ると、その中にカギが入っていた。
『あったわ。繰り返し全巻見てきて、正解だったわ』
言いながら黒木くんにカギを投げた。
言いながら黒木くんにカギを投げた。
黒木くんが机の引き出しに差すと、カギはカチャリと音をたてて入り、素直にまわった。
誰がやっても開けられなかった引き出しが、するっと開く。
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ライ(プロフ) - 「まず桜田の家で、東大の卒業生名簿を見た。浪人している可能性も考えて、前後の年代も見てみたけれど、望月孝太郎の名前はどこにもなかった。あの人は、東大を出てないね」 みんなは、うなずいた。 それは、保険証からも確認できている。の部分が重複してますよ! (2021年3月26日 14時) (レス) id: 65b1e4f8ab (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - manaさん» コメントありがとうございます!まだまだ拙いこの作品を気に入っていただけて嬉しいです。その応援を糧にこれからも頑張っていきます! (2020年3月30日 18時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
mana - 私この作品大好きです!ものすごく面白いです!更新楽しみに待ってますので頑張ってください!応援してます (2020年3月30日 18時) (レス) id: ecb2e4c19d (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 透架さん» コメントありがとうございます!神作とまで言っていただけて本当に嬉しいです。これからも頑張っていくので、応援よろしくお願いします! (2020年3月21日 13時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
透架(プロフ) - 最近kzの小説が減ってきてて漁りまくってたら神作に出会いました!!すごく面白いです!更新頑張ってください!! (2020年3月21日 12時) (レス) id: 2be61dc08d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きょっちー | 作成日時:2020年3月20日 13時