413話 ページ17
「なんでそんなことまで知ってるのかわかんないけど、やめてくれよ。オレ、モッチーが東大卒でなくても弁護士でなくてもいいし、まして昔のことなんて、ほんとにどうでもいい。オレはモッチーが気にいってるし、今の生活を楽しんでるんだ。それ以上、言わないでくれ」
そこで言葉を切ってから、砂原くんはかすれた声でつけたした。
「頼むよ、立花」
心の底からしぼりだすような、せつなげな声。
かしこい砂原くんのことだ、どこかで感じてたのかもしれない。
でも、今の生活を壊さないために、見て見ぬふりをしていた。
「モッチーとオレを、ほうっておいてくれ」
天井を見あげたままでそう言う砂原くんに向かって、若武くんが身をのり出した。
「おまえさ、ヒ.素化合物飲まされてるかもしれないんだぜ。毎日、体の組織が痛めつけられて、そのうちに決定的に破壊されて取りかえしがつかなくなるんだ。それでいいのかよ。」
砂原くんは、身動きしない。
「なぁ、こうしないか？おまえの髪を調べさせてくれ。もしヒ.素化合物が残留していなかったら、俺たちのまちがいだ。手を引くよ。だけど、もし残留していたら、オレたちに協力してほしいんだ」
瞬間、砂原くんが立ちあがった。
私たちを見まわして、少し笑う。
「ドーナツ、ごち。おいしかったよ。じゃあな」
両手をズボンのポケットにつっこみ、ドアに向かって歩きだした。
その背中につきつめる。
『たしかに今ここで逃げたら、しばらくの間は望月との生活を守れるわ。けれど、あなたは黒と白の境界に立ってしまった。優しいあなたはきっとそれに耐えられず、望月に真実を聞こうとするでしょうね。あいつは話さず、口封じにあなたを殺.すわ』
砂原くんが歩みを止めた。
『私は大切なものを守るために、命を懸ける。砂原くん、あなたも私にとっては大切な子よ。だから私は、たとえあなたに恨まれる結果になっても、望月に疑いがある限り、手を引く気は無いわ。そうね…、場所がわかってるその劇.薬を望月の書斎で飲みましょう。そうすれば警察の捜査が入ることは必然』
「本当にそんなこと、できんのかよ」
ドアを向いたまま話す砂原くんに、私からの最後の攻撃。
優しいこの子なら、きっと…。
『出来るわ。私の命一つで、あなたのこれからを守れるなら、お釣りが来るくらいよ。大切な子を守ることが、私の生きがいだし、すでに前科持ちだしね』
立花さんに目配せして、少し押し出す。
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ライ(プロフ) - 「まず桜田の家で、東大の卒業生名簿を見た。浪人している可能性も考えて、前後の年代も見てみたけれど、望月孝太郎の名前はどこにもなかった。あの人は、東大を出てないね」 みんなは、うなずいた。 それは、保険証からも確認できている。の部分が重複してますよ！ (2021年3月26日 14時) (
レス) id: 65b1e4f8ab (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - manaさん» コメントありがとうございます！まだまだ拙いこの作品を気に入っていただけて嬉しいです。その応援を糧にこれからも頑張っていきます！ (2020年3月30日 18時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
mana - 私この作品大好きです！ものすごく面白いです！更新楽しみに待ってますので頑張ってください！応援してます (2020年3月30日 18時) (レス) id: ecb2e4c19d (このIDを非表示/違反報告)
きょっちー(プロフ) - 透架さん» コメントありがとうございます！神作とまで言っていただけて本当に嬉しいです。これからも頑張っていくので、応援よろしくお願いします！ (2020年3月21日 13時) (レス) id: 22142a784e (このIDを非表示/違反報告)
透架(プロフ) - 最近kzの小説が減ってきてて漁りまくってたら神作に出会いました！！すごく面白いです！更新頑張ってください！！ (2020年3月21日 12時) (レス) id: 2be61dc08d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きょっちー | 作成日時：2020年3月20日 13時
