52話 ページ4
「おーい ティル ー‼」
急に名前を呼ばれて声の方を向く。
少し離れたところで手を振っている方に気がついた。髪が赤いリボンで束ねられた鶴丸。
国永だ。
審神者様とこちらに向かってきている。
「なんだうるさい奴も来たのー」
目の前の先輩審神者様が少し大きめの声で呟く。悪意は感じないため軽口を叩く関係なのだろう。
「先輩、お誘いありがとうございます。」
「なぁに、気にするなよ」
「なんだ、相変わらず女に声をかけまくっていたんだろう」
「はは、手厳しいですな」
主様とその先輩審神者様は楽しそうに話し出した。
鶴丸さんと私の所に国永がやってくる。
「よっ！ 久しぶりだな！ティル にそっちの俺！」
「お久しぶりです」
「何しに来たんだ」
鶴丸さんは国永を冷たくあしらった。
…失礼極まりないな。
それにしても、同じ顔が並ぶと少し変な感じだ。
「そっちの俺は随分と辛辣じゃないか。
お、ティル ！ 手首につけてくれているんだな」
「はい、 国永も私のリボン使ってくれているんですね」
「当然だろう？ 君から貰ったものだ」
と言って、なめらかに自然な手つきで
手を握られる。
こんなに優しく触られたことは無かった為ビクリと肩が跳ねた。
「鶴の完成だろ？」
「は、はい。そうですね」
「だ か ら！ そっちの俺は何の用なんだ！」
鶴丸さんが力強く 私と国永の手を離れさせた。
必然的に私は鶴丸さんに手を握られる事になり引っ張られて彼の身体にぶつかる。
腰に手を回されて密着した体制になった。
なんだこれ。
私は必死に剥がそうとしたがさらに腕の力が強くなってそうもいかない。
「そう怒るなよ。友との再会なんだ手も握りたくなるさ」
「友のような雰囲気では無かったが」
「おっと、少し願望が入ってしまったな」
もう一度言う、なんなんだろう、この状態は。
前に国永、後ろに鶴丸さん。何故二振りに挟まれなければいけないのか。
主様に助けを求めるような視線を送るが
楽しそうに話していて全くこちらに気がつかない。
「何故、ティル の腰に手を回しているんだ。
話を聞く限り君の態度は酷かったじゃないか」
「そ、それは‥」
「なんだ、今さら自分の気持ちに気付いたのか？ 横取りしようったってそうはいかんぜ」
「横取りだと？」
なんなんだこの訳わからん会話は。
とにかく鶴丸さんは早く手を離して欲しい。
呆れてため息を吐いた時
今まで騒がしかった会場が水を打ったように
静まり返った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 384人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
華音(プロフ) - 初めまして、刀剣乱舞大好きで一通り読ませて頂きました♪泣いたり笑ったりとても楽しかったです。ただ所々ですが誤字脱字やヒロインの名前が変換されてない個所が全体的に多かったので^^;ご報告させて頂きますね。 (2022年1月15日 14時) (
レス) @page43 id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
杏子メロンパン(プロフ) - こだぬきさん» 本当にありがとうございます。以前のコメントもとても励みになりました。感謝の気持ちでいっぱいです。 (2019年8月15日 9時) (レス) id: 590e18d332 (このIDを非表示/違反報告)
杏子メロンパン(プロフ) - 藍花さん» ありがとうございます。楽しんで頂けたのなら何よりです、 (2019年8月15日 8時) (レス) id: 590e18d332 (このIDを非表示/違反報告)
杏子メロンパン(プロフ) - anao10さん» そう言ってもらえて嬉しいです。私も鶴丸対決は書いてて楽しかったです。 新作も書きました、是非興味があれば読んでみて下さい。 (2019年8月15日 7時) (レス) id: 590e18d332 (このIDを非表示/違反報告)
杏子メロンパン(プロフ) - 椿さん» コメントありがとうございます！その後の話はもう書いてあるので、また載せていこうと思います！ (2019年8月15日 7時) (レス) id: 590e18d332 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：杏子メロンパン | 作成日時：2019年6月25日 18時
