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29話 ページ29

聞いている今の自分の気持ちを簡潔に表すなら、気持ち悪いという言葉が適切だろう。
私だって仮にも偵察部に所属する立場だ、
彼の今の言葉が本心でないことくらい嫌でも分かる。
でも、それを直接口にするわけにはいかない。
だから、私は恐らく彼が危惧しているであろう事を否定することにした。

「…私を差し出しても、貴方達のことを審神者に告げ口するつもりはないですよ。」

ピシリと空気が凍りつく音がする。
目の前の一期さんの貼り付けられた笑みが完全に剥がれ落ちた。

「なにを」
低い声がその場に響く。
やはり図星であったかと 私は確信した後
即座に取り繕った。
「えっと、それを危惧されているのではないかと思いまして。私の勘違いでしたらすみません。」

ありがとうございます。と、告げると
一期さんは眉に皺を寄せた。

「私の言葉は信用できませんか?」
「………いえ、別に」

答える際に少し空いた間から彼はそれを肯定と取ったようだ。

「はは、気付いておられたとは、中々貴女も
侮れないお方のようだ。」

いや、頭がお花畑じゃなければ誰だって気づくだろう。私が醸し出す雰囲気は少し舐められやすいタイプであるということは自覚している。だからこそ、潜入調査に抜擢されたのだから。しかし、あんな言葉に溺れるほど馬鹿ではない。

「他の方々は少々お疲れのようで頭が回っていない。貴女を差し出しせば審神者の機嫌は取れるだろうが、貴女が我々を恨み、審神者悪く言えばどうなるかなんて明らかだ。」

一期さんは完全に演技をやめた。
私は先程との変わり様に口元が引きつるのを必死に抑えながら口を開いた。

「別に言いませんよ。」
「その根拠は?」
「……。 そもそも、初対面の私の言葉の方を審神者は信じるのですか?
もしそうなら、貴方達と審神者の関係がそこまで脆いものであるのなら、私を差し出しても貴方達の待遇が改善されるとは思いません。」

一期さんが目を瞬かせるのが視界に入り、
私はしまったと 後悔した。
思った事を言いすぎた。ここで警戒される様になれば、ますます自分の首を絞めることと同じだ。
今後の為には頭がお花畑だと思わせた方が良かったと今更ながら悔やんだ。

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サザンカ - 凄く面白かったです!!!!!つい見入ってしまいました。続編などがあるのでしたら楽しみにしています! (2019年10月11日 19時) (レス) id: 381a12205a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年6月8日 18時

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