第3章 ページ35
ここ数日の違和感に桃井は頭を悩ましていた。
学校に来たら気付いたら昼休みで
もしかして寝てた?と思ってもノートはしっかりとってある。ただ、授業を受けた記憶がないのだ。
それに、この前廊下を歩いていたら
隣のクラスの話したこともない女の子に
桃井さんって、刀剣好きなんだね!
と、声をかけられた。
一期一振?やら鶴丸国永?やらよく分からない名前を連発されて 適当にその場を流したことはよく覚えている。
おかしいのはそれだけではなかった。
自分の評判がうなぎ登りで、廊下を歩けば先生から 覚えのない事で感謝され、知らない後輩にも挨拶される。
まるで、全く別の人と勘違いされているみたいだ。
ついに、赤司君にまで
「先日のデータは特に細かくて良かった」
と、まだ調べてまとめていなかったはずの学校の事を言われ 絶望した。
自分はどこか悪い病気なのだろうか
もしかして、記憶障害とか?
責められたりしないことが唯一の救いだが
やってもいない事を褒められるのも
不気味である。
今回はしっかりと自分が調べたデータをもって監督の所へ向かった。
職員室は二階で一階との間の踊り場には
等身大の鏡がある
普段 気にも留めていないが 、女子中学生として無意識に髪の毛が乱れていないか
確認しようと 鏡をみた。
「えっ?」
バサバサっと持っていたデータを落とし
後ずさりバランスを崩して尻もちをつく
鏡にはいつもの自分。
だけど、尻もちをついているのに
映る自分は立ったまま 指をさして笑っていた。
「き‥ キャアアアアアアアアーーー!!!」
目をつぶって叫び声をあげる。
「桃井さん!?」
叫びを聞いた黒子が一階からかけてくる。
「て、テツくん‥」
涙目で桃井は振り返った。
「大丈夫ですか?怪我はありませんか?」
黒子が駆け寄り 桃井の肩に手を当て尋ねる
「あ、あれっ‥!」
桃井は目をつぶったまま
鏡の方を指差した。
黒子も刺された方向を見る
「鏡がどうかしましたか? 」
桃井がパッと目を開くと
鏡には しゃがみこんで涙目の自分と
黒子の姿が映っていた
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作者名:杏子メロンパン | 作成日時:2019年3月14日 11時