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真緒「勝手に、終わらせんなよ」
身体がビクッと跳ねた。
とても焦がれていた声。
同時に今一番聞きたくはなかった声。
聞かれてた･･････？
後ろを向けば、走ってきたのか息が荒い衣更くん。
A「衣更くん･･････んむっ」
その後の声は声と成らなかった。
何故かと理解できなかったのも束の間、至近距離にある衣更くんの顔で、
今ある唇の感覚にも、説明が付いた。
頭が心情も含めて理解できたのはその一拍後だったけど。
つまり、えっと･･････キス、されてる。
そして、顔に熱が集まるまでは一拍もかからなく、一瞬で顔が熱くなる。
A「ん･･････ぁ･･････」
真緒「好きだ」
そうやって私の口から離れた唇が紡いだ言葉は嘘みたいな、夢みたいな言葉で。
信じられなくて何度も確かめようと口を開けて、また閉じてと繰り返していれば
ギュッと抱き締められる温もりで夢じゃないんだと実感する。
でも、その後思い出したさっきの出来事に頭は冷水をかけられたみたいに冷たくなって。
やっぱり信じることができなくて、今度こそと疑問をぶつける。
A「でも･････････あ、あんずちゃんは？･･･さっきの告白、だよね？」
自分でも思うほど情けない声。
それに密かに落ち込む。
真緒「･････････へ？」
素っ頓狂な声を上げた衣更くんは意外にも、一瞬ぽかんとした後納得したような表情になる。
真緒「ああ･･････あんずに喝入れられてな･･････その、うじうじせずAに告白しろと」
A「･･･え？」
今度は私がその顔をする番だった。
真緒「こう言ってたんだ『衣更くん･･････Aちゃんのこと好きなんでしょ！？』って」
おどけたように笑いかけてくれた衣更くんは、真面目な顔に戻って
真緒「返事、聞いてもいいか？」
と聞いてくる。
答えは知ってるだろうけど。
A「私も、大好きです！」
本だけでも生きていけたのに、本以外要らなかったのに。
君がいないと満足できなくなっちゃった。
私は君が良い。
君じゃないと駄目なんだ。
続く
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作者名：エル | 作成日時：2022年11月27日 15時
