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30話 ページ33

席に戻って一限の準備をしようとカバンに手を伸ばした時にふと思った。


(教科書ないじゃん…)


と。


(隣の人に見せてもらうのもなんか嫌だなぁ…あっちで使ってた教科書がここでも使えるなら…いや、そもそもあっちの世界の教科書すらないじゃん…Aさんピンチ…!?)


とりあえず何かは出しておかないとと思い、カバンに手をかけた時だった。お弁当しか入っていないはずのカバンがどっしりと重さを感じた。まさかと思い、カバンを開けると、そこには元の世界で使っていた教科書類が入っていたのだった。


『さすが私…イレギュラーな存在だからなんでもできるのね…』


ここって進学校じゃなかったかなとか考えつつ、教科書を出す。と、同時に授業を知らせるチャイムが鳴り出した。


教師「授業始めるぞ〜さっさと準備しろー」


見たことの無い教師登場。優しそうな人だ。


それからしばらくして…


『……ねみぃ』


ふあぁと欠伸をする。授業退屈すぎ。


(屋上行けたらなぁ…)


油断をしていた時だった。


教師「そこのやつ、この問題解け」

『…わたしですか?』

教師「そうだ」

『分かりました』


スっと席を立ち、黒板へと向かう。


(こんな問題簡単すぎるわ)


さらさらと問題を解いていく。その姿をみて先生が驚いているようだった。


『これでいいですか?』

教師「あ、あぁ。見事だ」


おぉーと歓声がわく。


(あぁ、優しそうに見えて結構やばい人なのねこの人)


私の勘がそういう。恐らく、このせんせーは授業をまともに聞いていなさそうな人に当てて、後々職員室に呼び出すような人に違いない。


(私が天才でよかった…←)

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作者名:怜花 | 作成日時:2019年12月15日 7時

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