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笑いそうになる頬を根性で引き締めて、隣のおみちゃんを見るとこちらもマネージャーさんに負けないくらいの顔面蒼白で、
「隆二、記憶喪失になっちゃったの？」
なんて笑
ダメや……
あかん、
やっぱ笑う…
なにが記憶喪失や。
うちのボーカル、アホや。
マネージャーさんの話を一通り聞いたあと、とりあえず隆二と話さな、ってことで再び病室へ入ることに。
そしてやっぱり、
マネージャーさんの言う通り、
隆二はおかしくなったみたいや。
｢隆二……？｣
隆二はまだ布団の中に隠れていた。
おみちゃんが不安げに声を掛けると布団がピクリと揺れた。
｢具合……どうなん。｣
恐る恐る…布団に手を掛けると中からくぐもった声が聞こえてきた。
｢だ、大丈夫です……｣
｢大丈夫なら顔見せて。隆二の顔見ないと安心できない。｣
おみちゃんがそう言うと布団の中からヒッ！と喉が鳴る音がしてとんでもなく慌てた様子の声が聞こえていた。
｢だ……だだだだ、大丈夫なんです。ほんと、おみくんに、そんな心配されたら私、恐縮過ぎで、ほんと、申し訳なくて、ほんと頭真っ白になっちゃうんで、ほんと、やばいんですけど！ど、どうしよう。けんじろくん助けてぇ〜｣
なぁ、おみちゃんよ。
突っ込んでも…ええか？
なんで、りゅうちゃん……
｢私、って言った？｣
｢……隆二が｢おみくん｣って言った……｣
目を合わせたおみちゃんがボソリと呟いた。
｢りゅうちゃん、とりあえず落ち着こな？ほら、布団暑いやろ。ちょっと出てき？けんちゃん助けてやるから、な？｣
極力優しい声色で話し掛けると布団のはしが少しだけ開いたからそこを覗き込むと隆二が困った顔でこちらを見ていた。
｢あ、あの……おみくん、出て行ってもらっていいですか？｣
え？なんで？
そう思いながら後ろを振り向くとおみちゃんがすごく悲しそうな顔をして、病室の外へと出ていった。
パタリとトビラの閉じる音がしたと同時にベッドの上の布団がバサりと跳ね除けられる。
｢ぷはぁ！あ、暑かった……｣
真っ赤な顔した隆二が肩で息をしている。
｢おみちゃん、めっちゃ傷ついてたでアレ。｣
そう言えば隆二はおみちゃんが今しがた出ていったトビラを見つめて、両手で自分の頬を覆った。
｢だってヤバいですよ！本物のおみくん！かっこよすぎて直視できないですよ！あれ、なんですか？人間ですか？｣
……なんやろ。
隆二の周りにハートマークが飛んでるように見えるのは、俺だけか？
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作者名：kyle
| 作成日時：2018年3月11日 11時
