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その日の夕方、
「Aの結婚お祝いパーティーのことだけど」
太輔にそう言われるまで、すっかり忘れてた。
今週末だよね？確か。
「さっき廊下で旦那さんとすれ違ったから、一応誘ってみたんだよね」
「…は！？なんで誘うわけ？」
「結婚祝いのパーティーなのに、旦那さん不在っていうのもね」
「なんて言ってた？彼」
「残念だけど予定が入ってるから、皆さんで楽しんで、だって」
…なんて優等生な答え。
まあ、まず来るわけないとは思ってたけど。
結婚祝いのパーティーは、会社近くのレストランを貸切って行われた。
昼過ぎから始まったそのパーティーは、夕方にはお開きになったんだけど、
なんだか家に帰りたくない私は、ふらふらとみんなとは反対方向に向かって歩き出した。
「A、そっち駅じゃないけど」
太輔が声をかけてくれるけど、
「知ってる」
私は愛想なく返事をする。
「どこか行くの？」
「うん」
「どこ？」
「適当に」
「そんなに酔ってるのに？」
わかってるよ。
今日はいつもより飲みすぎたし、酔いが回るのも早かった。
でも飲まずにはいられないんだって。
「もう一軒行く？」
そんな私の気持ちを察したのか、太輔は何も聞かずに私を近くのBARに連れていってくれた。
「A、ごめんな」
席に着いていきなり太輔から謝られるけど、何で謝られてるのかが理解できないでいた。
「何が？」
「結婚生活、キツいんだろ？」
「だからって、何で太輔が謝るの？」
「みんな言ってるから
Aは会社の犠牲になって結婚させられたって」
そういうことか。
別にいいのに。
これは自分で選んで決めたことなんだから。
だけど、だんだん酔いが進んでいくにつれ、気持ちもどんどん緩くなっていく。
誰にもこの結婚生活のことを相談できなくて、１人で抱え込んでるのが辛かったから。
ちょっとくらい愚痴ってもいいかな、って。
「私は小さい頃から、大好きな人と結婚して、幸せな結婚生活を送るんだって信じてたんだ」
「それで？」
太輔はそんな私の愚痴にも似た語りを、相槌を打ちながら聞いてくれている。
「結婚って、幸せになるためにするもんだと思ってた…」
「Aは今、幸せじゃないんだ？」
「今の私は、人生が半分終わったって感じ
詰んだ、みたいな？」
こんなこと、話したくなかったのに。
今日の太輔はあまりに優しいから、いらないことまで話してしまいそうになる。
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まいまい(プロフ) - あー、面白すぎます！！今頃この作品に気づきました。渉さんが愛に気づくことが出来ますように。こういうストーリーに入り込んだのは初めてです。とても面白くて、大好きなお話です。 (2021年5月4日 7時) (
レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - keitoさん» 確かに！なんかその２人、しっくりきますよね！言われてみればって感じで納得です！ (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - saryuさん» はじめまして。コメントありがとうございました。今のところ毎日更新ですが、いつ止まっちゃうかわかんないんで、ちょっとドキドキしながら書いてます(/ω＼) (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
keito(プロフ) - 好きすぎて実写化するならば…と、役者を思い浮かべてます。まずは主人公ちゃん。ガッキー、はるさん…うーん。なんて考えてたらシリアスなシーンでサスペンスかよってつっこんでしまいました。緩急が心地いい(*´ω｀*) (2018年12月19日 11時) (レス) id: 91adf91c90 (このIDを非表示/違反報告)
saryu(プロフ) - はじめまして、毎日ワクワクしながら更新待ってます。 (2018年12月19日 1時) (レス) id: 1be03817b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わかめ
| 作成日時：2018年11月16日 8時
