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千賀くんの登場により、クリスマスディナーは5時からの開始になった。

若葉が料理を出す度に千賀くんは、

「何?この料理!
見たことないんだけど!
美味しそう!」

とかって大袈裟に反応するから、若葉はその度に目尻を下げる。

デザートに出てきたクリスマスプディングに、千賀くんは大喜びで写真を撮ったり、「美味しい!」って喜ぶから、

若葉はまるで、愛人にA5ランクの神戸牛を食べさせてるオヤジみたいに顔を緩ませていた。









食事のあとは、自然と飲み会になる。

もちろん若葉も参加で。

「こんなゴージャスな家に住めて、Aさんは幸せだね」

千賀くんは純粋にそう褒めてくれるけど、私は何も答えられずにいた。

そのうち、いつもなら飲まない千賀くんは、よりにもよってワインに手をつけて、すぐに潰れてしまい…。

ソファーで寝ちゃった千賀くんを眺めながら、飲み会は続く。

「何ですか?あの寝顔
無防備にも程があるでしょ!」

ほろ酔いの若葉は、うっとりと千賀くんの寝顔を眺めてはニヤけている。








「それよりさっきの話だけど」

太輔は身を乗り出して、私達を交互に見据えた。

「…何?」

「旦那さん、もしかして仕事じゃないとか?」

…相変わらず鋭いな、太輔は。

なんとかこの会話から回避したいんだけど。

「いや、仕事以外でクリスマスに奥さんを家で一人にするとか、尋常じゃないでしょ。」

それでも私は黙り込んでいたけど、

「A様、太輔様には全てお話していいと思います」

若葉はそんなことを言い出し…。

とうとう私達の偽装結婚から、直近のクリスマス不倫旅行まで、事細かに太輔に話してしまった。









太輔は最初は普通に話を聞いていたけど、そのうちどんどん眉間に皺を寄せてしまう。

「それが本当の話なら、許せないんだけど」

太輔は見たことないくらい怖い顔になって、私に詰め寄ってくる。

「A、もう離婚していいんじゃない?
他に男作れとか、自分は女とクリスマスデートとか…
男として最低だと思う」

だけど若葉は、

「何か理由があるのかもって思うんです
渉様が理由もなしにそんなことをするとは思えないんですよね」

まだ彼の肩を持つ。

私はそんな2人の会話を、まるで他人事のようにぼんやりと聞いていた。

「A、このままでいいわけ?
会社の犠牲になって、自分の人生滅茶苦茶にされてるのに」

太輔ってこんなに怒ったりするんだ?

でも、もう私は、

全てがどうでもいいんだ。

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まいまい(プロフ) - あー、面白すぎます!!今頃この作品に気づきました。渉さんが愛に気づくことが出来ますように。こういうストーリーに入り込んだのは初めてです。とても面白くて、大好きなお話です。 (2021年5月4日 7時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - keitoさん» 確かに!なんかその2人、しっくりきますよね!言われてみればって感じで納得です! (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - saryuさん» はじめまして。コメントありがとうございました。今のところ毎日更新ですが、いつ止まっちゃうかわかんないんで、ちょっとドキドキしながら書いてます(/ω\) (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
keito(プロフ) - 好きすぎて実写化するならば…と、役者を思い浮かべてます。まずは主人公ちゃん。ガッキー、はるさん…うーん。なんて考えてたらシリアスなシーンでサスペンスかよってつっこんでしまいました。緩急が心地いい(*´ω`*) (2018年12月19日 11時) (レス) id: 91adf91c90 (このIDを非表示/違反報告)
saryu(プロフ) - はじめまして、毎日ワクワクしながら更新待ってます。 (2018年12月19日 1時) (レス) id: 1be03817b0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2018年11月16日 8時

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