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その日、若葉が帰った後に急に襲ってきた現実は、私を苦しめて、なかなか眠らせてくれなかった。
クリスマスに夫が不倫旅行をしているところを目撃してしまった新妻な私は、この感情をどこへ持って行けばいいんだろう。
恋愛感情がないのが救いではあるけど、こういう結婚生活がこの先ずっと続くのかと思ったら、
もう、死にたくなった。
そんな鬱々とした気分で迎えたクリスマスイブは、朝から小雨が降っていた。
やっぱり若葉は朝早くから私を叩き起こしては、部屋の飾り付けを手伝わせてくる。
きっとこれは、彼女なりの優しさなんだろうけど。
ディナーは18時スタートだったのに、お昼過ぎにはふらりと太輔がワインやシャンパンを大量に持って、やってきた。
「何か手伝おうかと思って」
「太輔のくせに気が利くじゃん」
玄関先でそんな会話を繰り返していたら、
出迎えにきた若葉は、目を見開いて固まってしまっていた。
私をキッチンに呼び寄せては、
「何ですか?あのイケメンは!」
と、すごい剣幕でまくしたてる。
「いつも話してる太輔なんだけど」
「あんなにイケメンだなんて、教えてくれなかったじゃないですか!
研究所勤めの独身男性だっていうから、どんな野暮ったい男子かと思ってたんですが、
俄然、やる気が出ました!」
意外だ。
若葉がこんなにイケメンに反応するとは。
太輔にも手伝ってもらって飾りつけもテーブルセッティングも終えたあと、
リビングで3人でお茶を飲んでいる途中、
「クリスマスに仕事とか、旦那さんも忙しいんだね」
何の気なしに言った太輔の言葉に、私と若葉は目を見合わせて、互いに目を伏せた。
「…何?もしかして、何かあんの?」
太輔は交互に見てくるけど、私達は目を合わせないようにますます目を伏せるだけ。
言えるわけないじゃん。
旦那は絶賛不倫旅行中です、とか。
結局、千賀くんも4時頃に、お花とスイーツを持ってやって来た。
「何かお手伝いできることはありますか?」
って、天使みたいに純真な目をして。
やっぱり若葉は私をキッチンに連れ込むと、
「誰ですか!?
あの綺麗な顔をした子は!」
私に壁ドンでもしそうな勢いで、そう訊ねてくる。
「うちの後輩の、千賀くんだけど…。」
「めちゃくちゃ素敵じゃないですか!
私の好み、超ドストライクなんですけど!」
いつも冷静沈着な若葉がここまで取り乱している姿は、もしかしたら初めて見たかも。
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まいまい(プロフ) - あー、面白すぎます!!今頃この作品に気づきました。渉さんが愛に気づくことが出来ますように。こういうストーリーに入り込んだのは初めてです。とても面白くて、大好きなお話です。 (2021年5月4日 7時) (レス) id: d8ffbdef31 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - keitoさん» 確かに!なんかその2人、しっくりきますよね!言われてみればって感じで納得です! (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - saryuさん» はじめまして。コメントありがとうございました。今のところ毎日更新ですが、いつ止まっちゃうかわかんないんで、ちょっとドキドキしながら書いてます(/ω\) (2018年12月20日 13時) (レス) id: 9f29bca2de (このIDを非表示/違反報告)
keito(プロフ) - 好きすぎて実写化するならば…と、役者を思い浮かべてます。まずは主人公ちゃん。ガッキー、はるさん…うーん。なんて考えてたらシリアスなシーンでサスペンスかよってつっこんでしまいました。緩急が心地いい(*´ω`*) (2018年12月19日 11時) (レス) id: 91adf91c90 (このIDを非表示/違反報告)
saryu(プロフ) - はじめまして、毎日ワクワクしながら更新待ってます。 (2018年12月19日 1時) (レス) id: 1be03817b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:わかめ | 作成日時:2018年11月16日 8時