３７話目 ページ37
「勝己兄ちゃん...ここっ...て。」
ホテルの駐車場で...モジモジと不安そうに聞いてきた。
「...入んぞ。」
顔を赤くして俯いているAの腕を引っ張ってホテルの中へ入ると、適当に部屋を選んでエレベーターに乗り込む。
エレベーターを降り、選んだ部屋に入ろうとすると、Aがシャツを引っ張って俺の足を止めてきた。
「...怖ぇなら、無理すんな。」
「怖く...ない。」
「...こん中入ったら...もう逃げられねぇぞ？」
躊躇いがちに頷いて、俺に抱きついてきた。
「勝己...兄ちゃん、大好き。」
「...っ、と、とにかく中に入れ。」
(...大好きとか...言うんじゃねぇよ。余裕なくなっちまうだろうが...。)
バイクを走らせてる間に少しだけ冷静になり、少しだけ理性が戻ってきていた俺は、無理はさせたくないと思っていた...のに。
Aは部屋に入ると珍しそうに辺りを見回し、所在なさげにソファに腰を下ろした。
「...何か飲むか？」
「みっ、水...ある？」
「...水な。」
冷蔵庫から水を２本取り出して、俺もソファに腰を下ろす。
「...おら。」
「あっ、ありがとう...。」
ペットボトルを手渡してやると、ビクビクしながら受け取った。
ズズ...と俺から距離を取るA。
「おい、んなに離れ「キャッ！！」」
肩を抱き寄せようと触れた瞬間、小さな悲鳴をあげて体をビクッと固くする。
その姿を見て可哀想になった俺は「今日は帰んぞ。」と頭を撫でてやった。
「焦んなくても、Aのぺー「帰らない！！」」
「だ...から、無理す「無理...してない！！」」
ガバッと俺に抱きついてきて、胸に顔を埋めるA。
その体は...小刻みに震えていた。
「...震えてんじゃねぇかよ。また今度にすんぞ、な？」
「か...勝己兄ちゃん...私は大丈夫。少し怖いけど...私を...抱いて...下さい。」
「だっ...抱いて...って、本当に良いんだ...な？途中でやめろっつわれても...止まんねぇぞ？」
俺の頬にそっと顔を擦り付けてきて「大好き。」と耳元で囁いた。
「...っ！」
Aの体を抱き上げてベッドの上へ移動した。
そっとベッドに降ろして、キスをしながらAの洋服を１枚１枚脱がせていく。
「勝己...兄ちゃんも...脱いで。」
下着１枚の姿で身をよじらせる。
洋服を脱ぎ捨て、寝転ぶAの上に覆い被さった。
「電気...消して？」
枕元に手を伸ばして灯りを消すと、震える小さな体をそっと抱きしめ、キスの雨を降らせていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 194人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：梅シロップ | 作成日時：2017年6月17日 11時
