４８話目 ページ48
「あ、ありがとう。」
手の中の人形を見ながらAは嬉しそうに笑う。
「爆豪くん、私も欲しい〜！」
「ぶっ殺すぞ、しょうゆ顔！きめぇ声出すんじゃねぇよ！」
ボスっと瀬呂の尻を蹴って、爆豪は歩き出した。
「爆豪、次はあれやろうぜ！」
上鳴が指さしたのはスーパーボールすくい。
「それなら私も出来る！」
「...俺苦手〜。」
「俺も苦手。すぐに破れんだよ。」
俺と瀬呂は顔を見合わせてため息をつく。
「やりたい！行こう！」
Aは爆豪の背中をパシパシ叩いて言うと「わーったから叩くな。」と睨み付けた。
「めっちゃ懐かしい！おぉ、ポイ久しぶりに見た〜！」
「それ、ポイっつうの？」
紙が貼られた掬う物の名前を初めて聞いて驚く。
「...多分ね、上鳴？よーし、競走しよ！」
「俺は無理！」
「俺も！」
「受けて立ったるわ！」
「俺も負けねぇ！」
A、爆豪、上鳴の３人でスーパーボールすくい競走が始まり、俺と瀬呂は観戦側に回る。
上鳴は5〜6個すくった所で敗れて敗退。
Aと爆豪は黙々とすくい続け、それぞれ10個以上すくっている。
「あ、もう破れそう...。」
「さっさと破れちまえ！」
そう言った爆豪のポイが破れてしまい、残るはAだけになった。
「あ！破れた！爆豪は何個やった？」
「...15個。」
「勝った！18個ぉ！」
「おー！Aすげぇじゃん〜！」
Aは好きな色のスーパーボールを貰い、子供みたいな笑顔を浮かべる。
「くっそ、負けた事無かったのによ...。」
爆豪は貰ったスーパーボールをまたAに手渡しながら、悔しそうな顔をした。
「負けず嫌いだな、爆豪。」
「あ？負けんのが嫌いなんだよ、俺は。」
髪をくしゃくしゃとしてイラついた顔を俺に向けてくる。
「まぁ、まぁ、爆豪...とりあえずかき氷でも食おうぜ！」
瀬呂が爆豪の肩に腕を回してニヤニヤと笑う。
「触んな！うぜぇ！」
「Aに負けたの...よっぽど悔しいんだな。」
俺が呟くように言うと、Aは苦笑いをして困った顔をした。
「...後でよしよしするわ。」
「...だな。」
２人でボソボソと話しながらかき氷の屋台に向かう。
「俺は王道のイチゴ！」
「悩むな...俺はレモン！」
「...ブルーハワイ。」
上鳴、瀬呂、爆豪は注文して、俺とAの顔を見てくる。
「俺...は...レモン。」
「私はブルーハワイ！」
皆でかき氷を持ち、神社内の花壇に腰を下ろして食べ始めた。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2017年7月14日 19時
