４２話目 ページ42
「A、今日荷物届くから切島の部屋に集合〜！」
「わかった！その前にスーパー行かんとあかん！」
瀬呂から前に頼んだせんべい類が届くと聞き、Aは嬉しそうに手を叩いた。
「俺も買い物してぇもんあるから一緒に行こうぜ！」
「じゃさ、上鳴。学校終わったら直で行こう？」
その後すぐにチャイムが鳴り、皆そそくさと自分の席へ戻っていく。
「A、俺も行かなくて平気か？」
「アハハ、過保護やな、切島は。あ！先生来た！」
水を打った様に静まり返る教室...。
(Aの思い出の味...楽しみだな。)
そんな事を考えながらAの背中を見つめてほくそ笑んだ。
「じゃ、スーパー行ってくる！」
「おい、待ってくれよ！おーい！」
放課後になった途端にAは教室を飛び出して行った。
その後ろから慌てて上鳴が追いかけて行く。
「慌て過ぎだろか...？」
爆豪はその姿を見て、呆れ顔でカバンを肩にかける。
「それほど嬉しいっつう事じゃねぇの？」
「俺、先に寮に戻るぜ！もうすぐ届きそうだからよ！」
瀬呂は俺らに声をかけると急いで寮に帰って行った。
「俺らも...帰るか。」
「おう。Aはアホ面と２人で大丈夫かよ？」
「大丈夫だろ？俺が聞いたら過保護って笑われちまった。」
「惚れた女には...過保護になるっつうの！」
爆豪は両手をポケットに入れ、足早に歩き出す。
寮に着くと瀬呂が段ボールを持って玄関で待ち構えているのが見えた。
「切島、これ部屋に持って行っといてくれよ。俺も着替えたら速攻で部屋に行くから。」
「おう。」
俺は瀬呂に段ボールを手渡され、爆豪と共に４階でエレベーターを降りる。
「爆豪...後でな。」
「...おう。」
自室に入って、そっと段ボールをベッドの上に下ろす。
制服から私服に着替え、ぼーっとしていると爆豪が瀬呂と一緒に部屋へ入ってきた。
「あいつら...遅ぇな？」
瀬呂がスマホを取り出して首をかしげながら言う。
「あ？んなに時間たってねぇだろが？」
「段ボール開けとこうぜ！気になるし！」
俺がそう言うと、瀬呂がいそいそと段ボールの蓋を開けて中身を出し始める。
「おー！これがたこせんべいか！？」
「...でけぇな。美味そう！」
「おい、しょう油顔！割らねぇ様に気を付けろ。」
薄い橙色の小判型せんべい。何か見るからに祭りでウケそうな気がする。
「これに練乳は想像出来ねぇ〜。」
カラフルな薄いせんべいが入った袋を手に持ち、瀬呂は不思議そうな顔をした。
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作者名：梅シロップ | 作成日時：2017年7月14日 19時
