【原神】素直じゃない君へ【男主】 (ページ9)

今日:12 hit、昨日:9 hit、合計:12,859 hit

素直にページ9

Aside

放「ま、待って、A！」

『ん、何？』

ふ、と笑いながら振り返れば安堵の表情を見せた放浪者。

放「…その、なんで家に居なかったんだよ」

『そりゃ倒れたからな』

放「なっ、…ば、馬鹿だな、体調管理もままならないなんて」

『…うん、そうだな』

ホント、素直じゃないやつ。
心配ならそう言えばいいじゃねえか。

放「良かった、…」

『っえ』

きゅう、と弱く俺に抱きつく放浪者。

小さく震えていて、まるで捨てられた子犬みたいだ。

『…お前の素性は知らんけど、悪かったよ。気をつける。』

放「ふん………ホント、変なやつだな」

背中をとびきり優しくさすってやり、おーよしよしと宥める。

放「…あったかい」

『お前は冷えてんな』

こういう体質なんだ、と言われる。
そうか、そういうもんだな。

もういい、と離れる放浪者。

『あ』

放「何さ」

『笠してないじゃん』

放「……そんな日くらいあってもいいだろ」

少し気まずそうに、不服そうにそっぽを向いた放浪者。
口を尖らせて…、拗ねているようだ。

『ふーん、いいんじゃね』

莫迦、ほんと何なんだ。
どんだけ素直じゃねえんだ。

俺に会った時、息を切らしてて、汗を流して。
眉を困ったように下げて、焦った表情をして。

…俺をあちこち探して、笠なんて気にしてる場合じゃなかった、みたいに見えたけど。

ま、コイツはこういう奴だもんな。

『…因みに俺、まだ帰れないから』

放「はあ？！いつ帰って来るわけ？！」

『分かんね、元気になったら』

放「十分元気なように見えるけど」

飯は自分で用意しろーと言って手で払う。

放「…待ってるから絶対帰って来い」

『…寂しいのか？』

放「ち、違うに決まってるだろ！もう帰ってくんな！」

『はいはい、じゃあ明日あたりに帰るよ』

ムキー、と怒っている放浪者を横目にガンダルヴァー村の、ティナリにお世話になってる場所を目で探す。

『…ここどこ？』

放「ほんとアホだな」

本当に学者か？と怪訝そうに見つめて来る。

うっせえ、結構評判いいんだぞ。