スペースキャット ページ12
ぱち、と目蓋を上げたとき、真っ先に目に飛び込んできたのはもちろん日光。
そよ風が優しく、爽やかな香りがする。
あーあ、もうティナリのところ住んじゃおっかな〜
生憎、昨夜のことはあまり覚えていない。
放浪者と会って…ここまで送ってもらって…
あとはなんだっけか。
差し込む温かな陽射しに目を細める。
うーん、なんて心地がいいんだろう。
そしていつぶりの休みだろう。
『…あ』
しまった。すっかり忘れていたが、アルハイゼンから頼まれた書類の提出日、今日だった。
仕方ない、もう既に少し書いてあるわけだし、今チャチャっとやってしまおう。
・
・
・
?「うわあっ!ビックリした!なんでこんなとこで仕事してるんだ!?」
?「こら、パイモン、静かにして」
『…はい?』
誰か入ってきて、ティナリかと思って振り向けば、
浮遊する生物と、金髪の子供。いや、異国の人と言えばいいか。
パイモン、と呼ばれた生物はとっさに自己紹介を始める。
パ「オイラはパイモン!こっちは旅人の空だ!」
空「よろしく」
はしゃいでいる様な声色のパイモンとは逆に、空は淡々とした声をしていた。
なんつー凹凸ペアだと思ったが、敢えて何も言わない。
パ「それで?お前は?」
さも当たり前かの様にお前呼びとは、やるな。
『A…、A・スカビオサ』
パ「んん?…すかびおさ?変わった名前だなあ」
『そう、かもね。俺からしたらパイモンも変わってると思う。』
パ「それもそうか…」
『故郷によって名前の個性は決まるものだ。そりゃ違う故郷から来た奴らからしたら変わってるに決まって…』
パ「うわぁぁ、わかったわかったぁ!」
パイモンは思わず空の後ろに隠れ、俺をじっと見つめる。
何やらこそこそ言っているが、全て丸聞こえだ。
パ「な、なんだかアルハイゼンに似てないか…?」
空「ふふ、そうかも」
ぷつん、と堪忍袋の尾が切れた。
『はぁ?!あんな筋脳と一緒にしないでくれ!』
あんな筋肉に脳が詰まった様な人間と同じにするなんて。
どうかしてるよ、こいつら。
あと俺は今重要書類を纏めてるんだけど。
…なくしたらアルハイゼンにさぞ怒られるんでしょうこと。
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るな - この作品気に入っていたのですが…もう更新はしないのでしょうか。いつでも待ってます (2月16日 20時) (レス) id: b6f4e9157d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:河井 | 作成日時:2023年6月16日 2時