VIII ページ8
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レインディナーズ、地下。立て掛けられたままだった絵の前で、彼は私を待っていた。トレードマークとも言えそうなあの大きなコートはラックに掛けられており、歳の割に鍛えられた体躯のシルエットがはっきり見えている。
ただいま、と言えば、アァ、と小さく返事をくれた。
「言っておくけど、他意は無いわよ。久しぶりに散歩に行ったら偶然彼らが押し掛けて来た」
「分かってる。そんな事を一々心配してはいねェ」
どうせお前は、俺の元から逃げられない。そう言って紫煙を吐き出す彼の顔色は窺えない。
「……どうかしたの。なにかご用事？」
「いや」
「……、まだお昼よ」
「シに来たんでもねェ。俺が昼間から盛るような堪え性の無い男に見えるのか」
「っふふ。──何か飲む？ いつものコーヒーと、頂き物の紅茶があるけど」
「コーヒー」
「はぁい」
キッチン上部、左端の棚。そこには彼の好むものが沢山入っている──このコーヒーも内の一つだ。他国で買ったらしい高価な豆は、挽くととても良い香りを放った。苦手な私がこれを飲むことはないけれど、香りだけはお気に入り。
揃いのマグカップを取り出して、コーヒーと、もう一つにココアを淹れる。
……ああそういえば、以前作ったマフィンの残りがあった。ついでにと一緒にテーブルへ出せば、彼も葉巻を捨てながら椅子を引いた。
コーヒーに口を付け、少ししてマフィンを齧った彼は、「また腕を上げたな」と低い声でひとつ笑う。褒めてくれることなど滅多にないので、思わずふふ、と私もご機嫌に笑みを零した。
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おはよ - めっちゃ面白い作品でした！最高です (2023年3月20日 22時) (
レス) @page44 id: d4f6705fb9 (このIDを非表示/違反報告)
白鯨(プロフ) - みうしさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます! 私としましてもまだ書きたいものが幾つかありますので、またぼちぼち気まぐれに更新しようかと思います。何卒気長にお待ちください。 (2022年11月13日 23時) (レス) @page32 id: 7a595430fd (このIDを非表示/違反報告)
みうし(プロフ) - 大好きな作品が終わってしまって寂しい〜〜泣泣と思っていたら番外編も書いてくださるんですか😭😭是非読みたいです……！！ (2022年11月12日 8時) (レス) id: f1ae5cae79 (このIDを非表示/違反報告)
愛ってなんや？ - 面白いです！！続き待機してます！！ (2022年10月23日 14時) (レス) @page19 id: 027cc676f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白鯨 | 作成日時：2022年5月25日 10時
