クーデレ彼氏と私の恋愛事情 【そらる】

事情 ２７ ページ35

luz side

病室の中では、Aも泣いていた

それで、僕は全てを察する

あの2人は、お互いの初恋に別れを告げたんだ

僕は知ってたからね、2人の初恋の人

Aも天月くんも優しすぎるから、きっと何も気づかないふりをしてたんだろう

良かったね、吹っ切れて

だってさ、天月くんの涙も、Aの涙も透き通っていたから

そんな2人に、僕は静かに微笑みかけた




さてと…

そろそろ入らないと、確認、終わっちゃうよね

『A？ 入るで？』

「え、るす兄？」

驚いた様子のA

あえて涙には触れずに僕は話を進めた

『うん、ちょっと話あるんやけど…』

「…うん」

やっぱりAはわかってるんだな

自分が置かれている状況が

『詳しいことはそらるさんから話してもらうけど…

Aの事、僕なら助けられるかもしれんの』

僕の言葉に少し動揺した様子のA

真実を伝えてあげたいけど、それはそらるさんの役目だ

僕じゃない

『だからさ、諦めたらあかんで？』

僕の意味ありげな言葉に、Aは驚きながらも笑って言った

「当たり前だよ」

やっぱ僕の妹やな、なんて思う

「黒崎さん… 」

少し控えめな看護師さんの声

『あ、はい… じゃあね』

「うん」


看護師さんについて行って、ふぅと息をすいこむ

これで、全てが決まるんだ

Aの未来が決まるんだ

プレッシャーに押しつぶされそうになりながら僕は









診察室に足を踏み入れた

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