事情 28 ページ36
そらる side
俺は、さっき通された診察室の椅子に座る
今はAのところに行っているるすももうすぐ来るだろう
そして、俺たちは聞かされるんだ
Aの未来を
正直言って、緊張で手汗はやばいし
気を緩めたら今にでも泣き出してしまいそうなくらい怖い
だけどさ…
「Aを幸せに出来るのはそらるさんだけですからね?」
「彼女を助けてあげて下さい」
そうやって泣きながら俺に言ってくれた…
天月
きっとあいつは
何かに区切りをつけたんだ
清々しい顔をした天月は眩しかった
だから俺は…
天月の気持ちも込めてAを守らなくちゃならない
絶対に
例え、るすの血液が当てはまらなくても
俺の血液が当てはまれば…
そんな思いで俺も検査をしたんだから
「あ、そらるさん…」
いつの間にか入ってきたるす
俺の隣に座るとふっと表情をきつくした
普段はニコニコ、ふわふわしてる、るす
でも、こういう所はちゃんとしてるんだ
「…検査の結果ですが」
医師の言葉
少し不安を募らせるその声色
病院の静けさが余計にそれを際立たせる
となりでは、るすがゴクリと唾を呑み込む音が聞こえた
「貴方の血液がAさんと一致しました」
医師は、俺の方を見て言った
俺は聞き間違いかと思って
思い違いかと思ってるすの方を見る
るすは、少し目に涙を溜めていた
「貴方の血液を使えば、Aさんの治療ができます… ただし…」
俺は、次の言葉を待つ
医師は言いにくそうに顔を歪めた後で言った
「貴方の寿命が縮まります」
それはひどく簡単な事で
理解できないようなことでもなくて
でも、俺は少しだけ疑ってしまった
少しだけ嘘であって欲しいと思った
「よく考えて、返事をして下さい」
医師の言葉に押されるように俺たちは外に出る
まさか、こんなことになるとは思っていなかった
Aを助けられればいいとだけ考えていた
るすは、ふっと息を吸い込むと言った
「僕には、Aは助けられません
後は、そらるさんにお任せします」
そう言って頭を下げると去っていった
『どうしたらいいんだよ…』
俺の呟きは誰に聞かれることなく消えていく
今思えば不思議でしょうがない
なぜこの時、答えを出すことができなかったのか
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マロン(プロフ) - コメント失礼します!天月さんの声大好きですよ!私も!((天月さん3rdアルバム出すんですよね!私は買いますよ!この作品すごくいいです!これからも頑張ってください! (2018年3月31日 1時) (レス) id: 4f61b6c220 (このIDを非表示/違反報告)
りりな - コメント失礼します!最後とかもうズタズタに泣いてしまいました!面白かったです! (2018年3月25日 14時) (レス) id: 44385e2a4f (このIDを非表示/違反報告)
月乃ーつきのー(プロフ) - 愛香さん» あぁぁ! めっちゃ遅れてすみません!!!! すごい嬉しいです! 続編も良ければ読n(( (2018年3月23日 11時) (レス) id: 6da1e8a878 (このIDを非表示/違反報告)
愛香 - とても素敵な物語で、色々な意味でドキドキしました。読んでいてたのしかです! (2018年2月8日 23時) (レス) id: 6ea59cca65 (このIDを非表示/違反報告)
月乃ーつきのー(プロフ) - そらるさん» すみません… 言いたいことがたくさんあって… 今度からは気を付けます! (2017年12月10日 19時) (レス) id: 6da1e8a878 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月乃ーつきのー | 作成日時:2017年10月28日 17時