【大正×対称アリス】～シンデレラ編～ (ページ12)

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☆いきなりご対面１ページ12

『…………』

謎の美少年に連れられてやって来たのは、喫茶店の裏口から入ったところにある厨房(？)でした。
広く、清潔が保たれた厨房内には、四人がけのテーブルがあり、私は促されるまま椅子を引いて腰掛けました。

ちなみに謎の美少年はというと、正面の席で優雅に読書を嗜んでおります。

？「はい、どうぞ」

『あ、ありがとうございます……』

運ばれてきたのは、彩り華やかな長方形の物体でした。

『これは……？』

顔を上げると、利発そうな少年と目が合いました。

？「ショートブレッドです。スコットランドを代表する洋菓子の一つで、ようはバタークッキーですね。多少、僕なりのアレンジを加えていますけど」

『貴方が作ったの？』

？「はい。僕が作りました」

『すごい！』

ショートブレッドといえば、シンプルな見た目が思い浮かびますが、彼が作ったものはそれとは全然違います。
シュガーパウダーや抹茶などで色づけされ、その上アラザンやスプレーチョコレートで鮮やかにデコレーションされています。
とっても華やかで、お菓子というより、まるでアクセサリーか何かのようです。

『……頂いても？』

？「どうぞ」

私は沢山あるうちの一つを手に取りました。
そして、口の中にほお張ると……。

『Fabulous……！！』

あまりの美味しさに声高に叫びました。

『こんな美味しいお菓子、食べたことが無い！これなら何個でも食べちゃえるかも！』

？「別に構いませんよ。貴方が食べなければ、このまま廃棄処分にしてしまうところでしたから」

『ええっ！勿体無い！！』

間髪いれず言うと、利発そうな少年は面食らった顔をしました。

『……ごめんなさい。つい……』

？「いえ。白雪兄さんがここに貴方を連れてきた時は驚いたけど、こうして喜んでくれて良かったです」

と、彼は目の前の美少年に視線を移しました。

『白雪君って名前なのね。貴方にぴったりな素敵な名前』

白「…………」

私は自分の印象を素直に伝えましたが、目の前の美少年……もとい白雪君は私に目も呉れず、本に没頭していました。

？「ああ、そういえば自己紹介がまだでしたね。僕はグレーテルと言います」

『グレーテル君ね。宜しく。私は…………』

言いかけて、ハッと気づきました。

グ「？」

ついうっかり忘れていましたが、ここはシンデレラさんのお店なのです。