コーヒー時々オムライス

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・・・

そのまま何も無かったかのように
立ち去ろうとする

ゆっくりと閉まる防火扉




お願い、雅紀
私に気が付かず
そのまま
立ち去ってくれ・・・




「あれ？A？」

おおっ
ミラクルボーーーイ


「・・・」


「ねぇ、どうしたの？」


「え？」


立ち去ろうとする部長の肩が微かに動いた

絶対、今、この人
この状況を楽しんでる・・


私を置き去りにしていく部長
それと入れ違うように
非常用のこの空間に入ってくる雅紀

私は
さっき部長が言ってた顔をみられたくなくて
目を合わさないように顔を下に向ける

「べ・・・別に？」


「いや、部長となんかあったろ？」


「え・・・」


私の中でいろいろな思いが駆け巡る
ここで雅紀に部長との関係がバレてしまったら、

私は、そうは思ってないにしろ
傍から見れば、これは誰しもが思うであろう

私の頭の中で
重い二文字がずんっと伸し掛かる

違う、違うの
そんな「不倫」だなんて



「何もないことないだろ？」


「何もないことあるでござる」

「え？」

「しまった・・・・」



私の顔を見て、
子どものように爆笑する雅紀


「ごめん、ごめん、
だってさ、Aってさ、
すっごく真面目な感じするから
ござるって・・・」


「わかんない、口から勝手に出てきた」


「しかも、自分から
ないかあるでござるって
どっちかわかんないよ」


「ないないないない」


「いや、あるね、
その顔見たらわかるもん」


嘘っ

私はさらに横を向く


やばい、
これは完全に気づかれてる

あぁ、会社でキスなんてするもんじゃない
私としたことが何やってるんだか

「えっと、違うの雅紀・・・これは・・・」


これは・・・って何を言ったらいいんだ


「いいって・・・言わなくても
俺は入社してから、
ずっとAと一緒に仕事してんだよ
わかるって」


あ・・・いや、わかって欲しくない


「あのさ、雅紀・・・」


そう言いかけたとき
雅紀が私の頭をポンポンと撫でる


「はぁ、かわいそうに・・・」

「は？」

私は、予想外の言葉に私は雅紀の顔を見る


「こんなに
泣き腫らしちゃってさぁ・・・
部長も酷いね」


「え？」


「女の子虐めちゃダメだよ、ほんと」


虐める・・・
やだ、そんなプレーじゃない

「あ・・・
あのさ、雅紀」


「ほんと酷いよね
部長」

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