コーヒー時々オムライス

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「ちょっと、からかってます？」


「いや？本気」


「酔ってます？」


「いや？だから素面のうちに
俺の正直な気持ちを伝えたまでだよ」


そう言って、彼は手を軽くあげ、
ホールの男性を呼び止める

「僕は、同じもので、
彼女には、そうだな・・・ホワイトレディをトニックで」


「かしこまりました」


そう言ってホールの彼が立ち去る

「レモネードの炭酸割みたいな感じだけど？
どうかな？」


「あ・・・ちょうどそんな感じが飲みたかったので
大丈夫です
櫻井さんってカクテル詳しいんですね」


「ん？まぁ、
ほら、こうやって誘う口実？みたいな？」


「あぁ、そうやって
いろんな人誘ってるんですね」


ちょっと心の中でちくっと刺さる


そりゃそうだ、
私なんかよりずっと素敵な女性はたくさんいるはずだ


それに・・・


「あぁ、誤解して欲しくないんだけど
こうやって誘ったのAだけだから」


そう言って笑い

「あぁ、ごめん、いい？」

と言って私の手を放し、電子タバコを持ち
私に聞く


「あ・・どうぞ」



今まで、確かに仕事ぶりを見てもかっこいいし
優しいとは思ってみていたけれど


数回、こうやって個人的に誘われるようになると
少しずつ意識してしまう自分もいて

手持ちぶたさになった右手をキュと一旦握り

そして、テーブルの上においてある
さきほど部長が頼んでくれたカクテルに口をつける


レモンが聞いてて、さっぱりしていて飲みやすい

今の私にはちょうどいい


横で電子タバコ独特の香りがする

そういえば、ずいぶん前に私の横にいた人は
タバコの香りがしていたな

タバコの香りって
どんな香りだったんだろう


そう思うと、思わずフと笑ってしまう


「ん？」

「あ・・いや。
そういえば、たばこの香りって
どんな香りだったかなって」


「ん？あぁ、俺もそういえば、忘れたなぁ
何？好きだった男でも思い出した？


私は慌てて

「まさかっていっても、もうこの歳なので
笑って言えますが・・
ずいぶん前につきあっていた彼氏はタバコ吸ってたこと
思い出しました
部長はもう長いんですか電子タバコ」

「そうだな・・どれくらいだろ、忘れたなぁ
嫌？電子タバコ」


そう言って、私を見る

「そんな嫌じゃないです」

「そ・・・良かった」


そう言って、そのタバコを消し

グラスを手に取り
アイスをぐるっと転がし
そして一口飲む

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