コーヒー時々オムライス

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そして、


「もしかして、寂しかったりして
ん？」


そう言って、私の手を再び握る



「まさか・・・」


そう言ったものの

さっき、1番最初に飲んだカクテルのせいか
私の脳内は少し正直になりそうで


「寂しかったかも・・・です」


そう言うと、フと笑った部長は


「いいんじゃない？せめて今だけでも
俺に甘えても？」


「それは・・・」


部長が握った左手を私は感じる


「できないです」


だって、部長は結婚してらっしゃる


頭の中ではわかってる


「あはは。たまにはこんな時間を過ごすのも
悪くない」


悪くない・・・・


私は、落ち着こうと
慣れない左手でグラスを持つ



「美味しい？」


「はい、とても・・」

この状況にドキドキしているのか
身体がさらに火照る


「A、ってほんとかわいいんだな」

「やめてください、図に乗っちゃいますから」


「いや、今の部に着任したときから思ってたよ」

「私なんかより、可愛い人なんて、たくさんいますから」


そう、みんなここは顔重視かというくらい
モデル並みの顔立ちの子ばかりだ


「そう？俺から見たらAが一番かわいいけど？」


そう言われて、顔が真っ赤になるのがわかり
私は思わず、空いた左手で頬を抑えると


部長は開いた右手で
私の前髪を指でわけ

「何？照れちゃった？」

と覗き込むように見る


「恥ずかしいです」


「真っ赤だよ」



「それは・・・カクテルのせいです」


「あはは、そうなんだ、じゃあ覚まさなきゃ」


「大丈夫・・・です」


ドキドキが止まらない
ひさしく、こんな思いを感じた事が無かった

忘れかけていた
私の「女」という部分が目覚めてくる


でも・・・ダメ

この人とは恋はできない


まだ残る理性心


「そろそろ出る？」


飲み干した私のカクテルグラスを見てそう言う


もう少しだけ、酔いしれていたい

私の脳内で何かが行ったり来たり

終わってしまうこの時間
それが例え疑似的なことだとしても
今この瞬間、私が心地が良かったのは事実だった


「はい・・・そろそろ」


そう言って先に立ち上がった部長が
私をエスコートするかのように立ち上がらせると

グラっと一瞬揺れる


「おっと、大丈夫か」

「すいません、実はパンプスが痛くて」

そう、これはパンプスのせい

「A？少し酔ってないか？」

「いえ・・大丈夫です」

でも、微かに揺れる視界

「少し・・休んだ方がよさそうだ」

私の耳もとで部長がそう囁いた

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