追想-TUISOU-１０ Secretな彼女番外編 (ページ33)

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「え？」

リンがつぶやくように話した

「ちょうど・・・卒業旅行期間中だったと思う」

「卒業旅行？」

思っても無かったリンの言葉に俺は耳を傾けた

「そう、私、先にフランスに来たのよ」

「あぁ、それはなんとなく聞いてたけど
それも確か隠してたよね、俺にはイタリアに先にさとみと行くって行って出たんだよな」

「そう、もちろんさとみとは、途中で合流するんだけど、
どうしても調べたいことがあって、イタリアに入国する前に、フランスに一回飛んだの」

「ブドウ畑の偵察？」

「それもあったんだけど・・・」

何かを思い出そうとするリン

「そう言えば、あの頃さ、俺ら同棲してたじゃん」

「そうだね、短かったけど・・・」

「内容は濃かった」

「何よ、内容って」

「いや、今思い出したんだけど
リンは、卒論書き終えてもう勉強しなくてもいいってのに
夜中まで、フランス語とかフランスのついて勉強してたよなって。
そっかここに結びつけるためだったんだなって」

「まぁ・・そうだね」

そう言って、ミニトマトを口に含んだ
当時のことが急に思い出されていく

「あ・・・」

「何？」

「ちょうどその頃、俺ベッドで素数みたいなのが並んだ数字のメモを見たんだ」

「数字のメモ？」

「あぁ、もう何だったか覚えてないんだけど、二けたが何個かならんでて
でさ、黒川となんだこれ？って
ごめん、急に思い出した」

「なんだろう・・・」

「でもリンの字だったよ、二けたの数字が何個か並んでて」

あ・・・
自分で言っておきながら、俺は思い出す

そして、ポケットからスマホを取り出し
タップする

やっぱり

さっき、なんかどことなく何かを感じたのはそうだったんだ

「あぁ、ほら、これ見て」

そう言って
俺は、さっき帰り迎えに来てもらうために
タクシーの運転手から聞いた番号を見せる

「ちょうど、こんな感じ・・・これは、違うんだけど
迎えに来てもらうタクシーの電話番号なんだけど」

と、そう言うと
リンの動向が微かに開いた

「あ・・・思い出した
そのメモもそう・・・電話番号」

「電話番号？」

「そう・・・
私には、行方知れずの兄がいるって話したことあるでしょ・・・」

「あぁ、反対押し切って医者になったって」

「その兄が日本経由で、フランス支部の国境無き医師団配属された形跡があるって
知ったの」