座右の銘が何処からかすっぽりと消え落ちている ページ9
「いけません！ その前にご学友の御身をお守り下さい！」
元部下からの助言に、朱莉さんを氷の分厚いドームで覆った。
『有難う。 体は操られても、心は平気みたいだね』
「ええ、まあ。 しかし・・・」
言葉を切り、彼は深呼吸をした。
『如何したの？』
「どうやら、お話しできるのはこれまでのようです。
これから俺は、完全に意識を乗っ取られます。 どうか、無理だと思ったら迷わず俺を殺して下さい」
『ッできるわけない！ その前に私が山本を殺す』
「駄目です。 そうすれば、私が貴方を殺さないといけなくなる。 私に貴方を、殺させないで下さい」
涙目になりながら説得され、諦めるものの。
『じゃあ、私はどうすれば良い。 何が正解だ。 どうすれば君を助けられる！』
「俺は助からなくて良いです。 A様を傷つけたくないんです。 だから、もう・・・」
殺して下さい
『何を・・・』
「もう、貴方を裏切って、敵に平伏すのには、疲れたんです。
お願いします。 殺して下さい」
頭を下げて頼む元部下に、私はどうすれば良いのか全く解らなかった。
『厭だよ。 だって、貴方を待っている家族がいるじゃん。 家族が悲しむよ』
家族を失う辛さを、これ以上誰一人にも味わって欲しくない。
「ねェ〜、そろそろ良いかしらぁ？ さあ、彼奴を殺しなさい」
「っぐ あああ！！」
叫んだ後、妙に光のない瞳で私に向き直った元部下の長谷は、何度呼びかけても返事を返してはくれなかった。
『長谷さん！』
「無駄よぉ？ だって、この人はもう私の操り人形だもの
そうだ、学級委員長さん、殺してもいい？」
一瞬朱莉さんに注意を逸らした。 瞬間だった
『異能力 氷面華！』
ギリギリで氷でナイフを受け止め、刃を押し返す。
『あっぶな。 早く来なさいよ、中也』
氷で周りを取り囲む黒服の足下と銃口を氷で固める。 これで攻撃はされないだろう。
『動けませんねェ〜。 さて、貴方方は命の危機にあるわけですが・・・。
どんな気分ですか？ 怖い？ 辛い？ それとも
楽しい？』
私を見る 目、目、目
全て怯えたような表情で、面白味の欠片もない。
『因みに、私の座右の銘は明るく楽しく元気よく なわけですが、明るく楽しく元気よく死にたい人〜』
・・・なーんだ。 いないのか
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なすび(プロフ) - りとのおへやさん» 有難うございます！ これからもそう言っていただけるよう、頑張りますね！ (2019年6月2日 21時) (
レス) id: 6cdc79c834 (このIDを非表示/違反報告)
りとのおへや(プロフ) - めちゃめちゃ良かったです！中也オチマジで神!!!本当に、こんな神作品を読ませていただけて感謝しかないです！ (2019年6月2日 20時) (レス) id: 534e38ce7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なすび | 作成日時：2019年1月30日 21時
