第77話 魔王 ページ30
そこまで考えて、私はふと思い出した事を口に出す。
『そう言えば、チーノさん』
ci「はい？」
『魔王様って、どんな
em「あっ、そう言えばそうですね！？」
エーミールさんは、「盲点やった...！」とでも言いそうな表情を浮かべた。
どうやら、魔王についての情報は一般常識の範囲内だったらしく、何処かで話しているだろうと勘違いしていたらしい。
...成程、そんなに皆が熟知してる事なのか。
em「すみません...」
『いえ、自分から聞きにいかなかった私も悪いですから。それに大先生に伺った時、チーノさんの方が魔王様について詳しいとも聞かされたので、一度チーノさんに聞いてみたかったんです』
ci「ふむふむ、成程〜。確かに、あの
『え？』
そう言うと、チーノさんは立ち上がり、背伸びをする。
そして力を抜いた時、ぼふんっと煙が起こったかと思うと、彼に狸の耳と尻尾が生えていた。
...あ、ファントムの時のアレ、気のせいじゃなかったんだ...。
ci「あぁ、言ってませんでしたね。俺の種族は妖怪の“化け狸”。他人を化かす事が、生き甲斐であり血に刻まれた一族や」
『化け狸...だから、あの時変化出来たんですね』
ci「はい。かく言う俺も血に逆らう事なんて無く、初対面やったコネシマさんにお茶と称して麺つゆ飲ませたり、ショッピを騙し討ちしたり...いやー、色々やりましたね！」
『いや、最初の騙しが子供レベルなのは何故』
そう言うと、チーノさんは「てへっ☆」というような表情を見せる。
しかし、彼が化け狸なのは分かったが、それが魔王の件とどう関係があるのだろうか。
疑問を膨らませていると、彼は口を開く。
ci「俺、魔王様は騙せた事ないんです。というか、
『騙せない...？』
ci「はい。通常、他人を騙すには相手を知る事が必須なんやけど...俺、魔王様の事全然知らなくて。細かな功績とか、そういうの。だから、“何もしがらみが無いから”仲良く出来るんです」
『...そう、ですか』
その事について話した時、チーノさんは何処か寂しそうな瞳をしていた。しかし、それも一瞬だけで、彼はすぐに笑顔になる。
...魔王は、孤独なのだろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2403人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まる(プロフ) - やっぱり“なる”様だったんですね、最初の直感当たってたの嬉しww 魔王も神も、u先やネタに関しても、来斗牙様の作品は伏線が分かりやすい上に、パッと分からなかった伏線もすぐ回収してくださる為ストレス無く楽しめています。更新、楽しみにしております! (10月13日 14時) (
レス) @page43 id: dba6e6f19e (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - お久しぶりの更新、とても嬉しいです！ｱﾚ…魂の…ランタン…？まさかダンジョｎ(( (2023年4月1日 11時) (レス) @page43 id: 2d3cfb07c5 (このIDを非表示/違反報告)
sugeeee - 世界観がとてもかっこいいです！…外の神と魔王が全く分かりません……。 (2023年3月10日 14時) (レス) @page38 id: 1906228508 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@カド松(プロフ) - 外の神と魔王が察せる件について (2022年12月1日 21時) (レス) @page41 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
ナイトジャー(プロフ) - 久しぶりにきたら投稿されててこれまた内容が素晴らしくて色々大変です(語彙力無)peさんとsnさんの掛け合いとか本当にありそうですもんね…。ネタのぶっこみ方が本当に尊敬します。 (2022年11月12日 20時) (レス) id: 8b9e251ed3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
