【碧棺左馬刻】男として生きてる女

偽り28【過去】 ページ29

｢てめぇ！！ちゃんとやれって言ってんだろ！！！いつになったらできるようになるんだ！！！！｣


ﾊﾞｼｯ！！


『ごめんなさい...ごめんなさい...』


少女は自分でバッサリと髪を切り、少しでも男の子っぽくしようとした





その日から少女ではなく、少年として生きているのだ





11歳の時



『...ただいま』


その日Aは嫌な予感がし、早く家に帰ってきた


『...母さん？』




ｶﾞﾁｬ


『母さ.....』





母親は首を 吊 っていた





────



母親が 死 んでからもAは父親に色々とこき使われていた


｢...おい...なんでこれ終わってねぇんだよ！！｣


ﾊﾞｼｯ


『...っ！』


｢何だァ？その目はよォ！！！！｣ﾊﾞｼｯ


『...ごめんなさい』



少年は泣くことは無くなった




｢お姉ちゃん...｣

｢お姉ちゃん｣



『...いいか二人とも。もう僕の事はお姉ちゃんとは呼ぶな。兄ちゃんか名前で呼べ』


｢...わ、分かった｣

｢ごめんね...お兄ちゃん...｣


『よし』ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ



お姉ちゃん


もしそんなことを言って、父に再度こいつは女だ、理解させればまた気象が荒くなってしまう

さすがにそれは避けたかった


そして2人の妹は普通に娘として接していた

それだけは良かったと思っていた






反面








羨ましい


と思っていた



平等に扱われない自分の醜さが悔しかった




その家庭環境から、笑顔は無く、学校ではいつも一人だった



中学からはいじめが起き

正直辛かったが、行くのを辞めなかった




『...ただいま』



ｶﾞﾁｬｰｰｰｰﾝ!!!



父親が暴れている

きっと酒だ



こういう時、妹たちには絶対に部屋から出るな、鍵をかけて二人でいろ、と言ってある



この父親の相手は僕しか出来ないからだ



｢ﾋｯｸ...やぁ〜っと帰ってきたかクソ野郎｣


『...』


｢こっち来いよ｣



ﾄﾞｶｯ！！

ﾊﾞｼｯ！


『っ...ぅ...！！』



｢てめぇはぁ！！！！ほんと気に食わねぇよ！！！！女が何をできるんだァ？！力も権力も持てねぇクソに！！この家の跡取りが出来ると思ってんのかぁ？！！！なぁ？！｣



『うぐっ！』



｢っはは...お前の母親も可哀想になぁ？！お前が産まれてこなけりゃアイツは 死 ななくてすんだんだ！！！！何もかも！ぜーんぶお前が産まれてから変わっちまったんだよ！！｣







頭をかち割られた感覚だった

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