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「でも節度は守るように!」
「は、はい!」
嬉しさでまた泣き出しそうになっていると、ベルトルトは教官が教えを説くかのように顔をキリリと変え、ピンッと指を立てた。
ギョッとして思わず敬語になってしまった。教師ベルトルト……様になっている。
そんな私を見かねてベルトルトはふっ、とまた優しい笑顔に戻った。
「またジャンに噛みつかれるのはごめんなんだ。正直、疲れるから」
その言葉に私はまた固まる。
「レジィ?聞いてる?」
突如固まった私にベルトルトは首を傾げ、私の顔を覗き込んだ。
私は恐る恐る口を開いて問う。
「ベルトルトって文句言うんだね……」
するとベルトルトはえぇ?と顔を顰めた。
「何言ってるんだA。僕だって文句のひとつやふたつは言うし怒る時だってあるよ。君は本当になさそうだけど……」
「わ、私にだってある!人前で出さないだけで本当はむちゃくちゃ怒ってる時だってあるから!」
「でも君は今 僕に向かって文句言ってるね」
「あっ」
「僕これでも君の弟なのに。僕にだけ強く当たるのかい?」
「そ、それは……だってベルトルトが……」
「いつもは文句一つも言わないAが僕に文句を垂らすなんて」
「悲しいよ、姐さん?」
「あ”ッ……!?姐さん!?」
首を傾げ足を抱えて座る体制で上目遣いにるように、彼の大きな黒目が私をじっと見据える。
こいつ私をバカにしているな!?
「この!ベルトルトわざと怒らせようとしてるでしょ!意地悪!」
「意地悪でも我慢するのがいつもの君だろう?ほら笑ってよ」
なんて私の眉間をぐりぐりと押す。どうやら眉間にシワがよっていたようだ。
私は呆れてふい、とそっぽを向いた。
「あーあ知らなかった。ベルちゃんがこんなに意地悪だったなんて」
「自分でも驚いた。Aをいじるのがこんなに面白いなんて」
「許さん」「いいよ」
別の方向を見ていると彼が何を考えているかが気になって、そっぽ向くのをやめてちらりと彼の様子を伺った。
ベルトルトと目が合った。目が合うと彼はニコリと笑ってくれる。彼はずっと私の方を見ていたらしい。
こうやって痴話喧嘩してみるとか、いままでも私を見ていてくれた彼のこととか、色々となんだかおかしくて私は思わず吹き出してしまった。
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星々まむみ(プロフ) - ポケットの案内人さん» アッッッありがとうございます!!(´;ω;`)面白いと言ってもらえるだなんてそんな(テレテレ)がんばります〜〜!ありがとうございます!! (2021年3月30日 0時) (レス) id: d7f30b4d2c (このIDを非表示/違反報告)
ポケットの案内人(プロフ) - らす今更ですがすみません…ベルトルトの小説を探していた時にこの小説を見つけて、とても面白い話だと思いました!!更新ゆっくりでいいので応援してます!主人公も可愛い!! (2021年3月30日 0時) (レス) id: edca7b102c (このIDを非表示/違反報告)
星々まむみ(プロフ) - この物語がどういう話なのか考察してもらいたいまむみです。毎話のタイトルで意味があるものと無いものがあって意味ある方どういうことか考えてもらいたいまむみです。かまちょなまむみです。まむみです。嘔吐してる夢主ちゃんが描きたいまむみです。 (2021年3月29日 22時) (レス) id: d3e660f4be (このIDを非表示/違反報告)
星々まむみ(プロフ) - 演鬼さん» ありがとうございます!!(´;ω;`)絵柄無理やり可愛くしました!!また何か投稿したいと思います!! (2021年3月28日 23時) (レス) id: d7f30b4d2c (このIDを非表示/違反報告)
演鬼(プロフ) - 星々まむみさん» ぎゃああああ最新話の有り余る画力にびっくりしてつい更に返信を!!!絵柄も好きです!!(錯乱) (2021年3月28日 18時) (レス) id: 7689ca9d8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星々まむみ | 作成日時:2021年3月2日 2時