前世戦闘系審神者は鬼を狩りまくる。2

56話 ページ31

善逸side
その人はものすごく不思議な音をする人だった。
炭治郎ってさ、すっごく鳴きたくなる、とてもやさしい音がするんだよ。

その人の音も、どことなく炭治郎とにてるんだけど、ちがう。

炭治郎は泣きたくなる音に対して、あの人はじいちゃんを思わせる厳格な音と、懐かしいって思わせるような、優しい音。

あと、たまに混ざってくる『帰りたい』って音

どこに帰りたいのかはわからない。
だけどあの人、上弦の参と戦ってるときにその音が大きくなっていたんだ。

それと同時に死にかけそうな人と同じ音がした。

だから何となく、この人にとって『帰りたい』は『還りたい』と同じなんじゃないかって、怖くなった。
運ばれていくときに、聞こえたんだ。


《俺、がんばったんだよ……みんな、ねぇ、みんなのとこに、いきたいよ………、ひとりは、やだ………》


ほんとに……本当に小さな声
俺じゃないと聞き取れないくらいの。

炭治郎からお見舞いに行こうと言われて部屋に行くとあの人が……Aさんがいた。


「…………………に、帰りたい。」


嫌な汗がぶわっと噴き出していつの間にか走っていた。
それは炭治郎と伊之助も一緒だった。

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