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四十二話 ページ2

朝、俺たち6人が学校に行くと、南軍の奴らはいつもより慌ただしかった。


 校庭には北軍の奴らと思われる生徒が中心にいて、もう既に秩序が乱れ始めたなと笑みを零した。



「おいおそ松。お前、その傷で来てよかったのか?」



「おいおいカラ松くぅーん。俺がそんなに軟に見える?」



 俺がそう茶化すと、カラ松は俯き言葉を濁した。…心配してくれてんのね。


 すると校庭から北軍の奴らがこちらに来た。弟達が俺の後ろに並ぶ。



「どうも、南軍のリーダーさん」



 いかにも不良みたいな奴だなあと零す。


 笑ってると北軍の奴らが苛ついたのか声を荒げた。


 カラ松とチョロ松が舌打ちを同時にし、俺はどーどーと宥める。



「リーダーがいなくなったおかげで、北軍は崩壊危機か」



「クロセンパイはねえ、南軍の奴を殴って停学処分になったんだよ。だから、さあ」



「敵討ちってか」



 ばっかみてえ。あんな奴の…―――――。


 頭を過る思いを振り払う。


 わざとおちゃらけ、余計に北軍の奴らを煽る口調を使う。


 後ろでチョロ松が溜息を吐いていた。


 そして俺が眼前で喧嘩腰の奴を見降ろし、相手してやるか、と思ったその時。



「何やってんだよ、後輩風情が」



 冷たい声が響き、北軍の奴らがばっと後ろを振り返った。


 3人ぐらいの奴がそこには立っていて、丁度真ん中に立つ奴はどこかで見た顔だった。



「そろそろ戻れ。先輩命令だ」



 優しそうな顔をしながら鋭い口調の奴に、北軍の後輩共がびくりと震える。


 それでも怯えた様な声色で後輩共は声を上げた。



「なんでセンパイ方が仕切ってるんすか? リーダーはクロセンパイでしょ?」



 後頭部を掻いて長い溜息を洩らした奴は、俺たちを一度見た後、後輩共に近寄ってにやっと笑った。



「俺が、アイツの停学処分免除までの間、北軍リーダーになった。ちなみにアイツ公認だ」



 驚愕の声が上がり、後輩の奴らの顔が歪む。


 するとそのリーダー、と名乗った奴がこちらに向き直って、意地の悪い笑みを浮かべたまま俺たちに言い放った。



「アイツ、甘いから今まで南軍にちょっかい出さなかったけど、あの一件以来、考え方が変わったらしいぜ」



 そう言った奴は行くぞと言って踵を返した。


 俺たちは何も言えず、ただ茫然としていた。そして南軍の奴らが興奮した声に、耳を傾けていた。

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設定タグ:おそ松さん , 喧嘩松 , 男主   
作品ジャンル:アニメ
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れもん - 東郷さんについてこの後兄弟に話したのかとか一松を実は守っていたということに対して兄弟がどのような態度で黒斗に接するのかなど気になる部分は多々あります…書いて欲しかった…。主人公が理不尽な目にあって六つ子が悪役に見えなくもないですが良い作品でした。 (2022年1月21日 22時) (レス) @page33 id: bc2584c695 (このIDを非表示/違反報告)
神野 赤月 - とても泣いてしまいました。いい作品ですね! (2017年8月24日 7時) (レス) id: 1f93e928e5 (このIDを非表示/違反報告)
リュウア(プロフ) - 完結おめでとうございます。占いツクールの小説で物凄く久しぶりに泣きました。作者様にこのコメントが読んでいただけるか分かりませんが本当に面白く、何かを考えさせられる小説でした。とっても面白かったです。 (2017年5月28日 21時) (レス) id: ef6262a277 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 何か主人公が理不尽すぎる気がします (2017年3月30日 21時) (レス) id: be64f1ec17 (このIDを非表示/違反報告)
ルアルア(プロフ) - いの近さん» コメントありがとうございます!私も、読者さんと同じ気持ちです!素敵と呼ばせてもらえる主人公と松野兄弟が書けて良かったです!最後までありがとうございました。 (2017年1月22日 11時) (レス) id: 095eb051dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルアルア | 作成日時:2016年10月23日 18時

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