四十一話 ページ1
「お前が停学処分とか、なんかいろいろ予想できたわ」
仲が特に良い仲間とスタバァでコーヒーを飲んでいた。ちなみに俺はミルクティー。仲間はワッフルにブラックを飲んでいた。メニューについてはよく知らない。
ストローから口を離し、俺は仲間をぎろっと睨む。
「そう言うお前こそ、停学処分ギリギリになったことあるだろ」
「ひー、言わないでくれよ、それはさあ。黒歴史っ!」
長い溜息を吐いて椅子に寄りかかる。
仲間は食い気味に身体を前のめりにすると、ワッフルを口にしながら口を開けた。
「で? お前兄貴たちと喧嘩でもしたの? 機嫌悪ぃーけど」
「一番上の兄貴と大喧嘩。二番目の兄貴に殴られ、六番目の兄貴にビンタを受けた」
「集中攻撃食らってんなぁ…」
ズコーとコーヒーを啜る。…コーヒーってそうやって飲むものなのか?
「てか、どうすんの? 北軍の奴ら、すっげぇ困惑してたけど。リーダーが停学処分だって聞いて」
「そこでお前に頼みがある」
お? と訊き返してくるので、俺は半ば強引にワッフルを奪う。
…美味い。
「オイイィ!」と言われたのを無視しながら、ミルクティーでワッフルを流す。
「お前に一時北軍リーダーを任せる」
しばしの沈黙が流れたが、俺は平然として再びミルクティーを口に含む。そしてふうと一息ついた。
…腹減ったな。何か買うか。
そう思ってレジの方に目を見やった瞬間、「ちょちょちょ、待てよ、オニーサン」と変な声で呼び止められ、再び視線を仲間に向ける。
額から汗を流している。
「俺が!? 無理に決まってんだろ! そもそも俺にはお前みたいな貫禄というものが――――」
「じゃ、後は任せた」
そう言って立ち上がる。仲間は残念そうな声を上げながら項垂れる。
レジの前に立ってケーキを頼む。レアチーズケーキは好みだ。
すると、ポケットに入れていた携帯が震えたので、片手で画面を開くとメッセージが届いていた。
開いて確かめると、どうやら南軍の先輩に北軍の後輩がやられたらしい。
仲間にそれを伝えると、とっととケーキを食えと言われ、スプーンの持つ手を速める。
「終わったらさあ、夕飯食いに行こーぜ。何食いたい?」
「…肉」
「焼き肉行くか!」
「食べ放題な」
早めに食べ終えスタバァを出た。
そして早足で喧嘩の勃発しているところに向かった。
×××
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れもん - 東郷さんについてこの後兄弟に話したのかとか一松を実は守っていたということに対して兄弟がどのような態度で黒斗に接するのかなど気になる部分は多々あります…書いて欲しかった…。主人公が理不尽な目にあって六つ子が悪役に見えなくもないですが良い作品でした。 (2022年1月21日 22時) (レス) @page33 id: bc2584c695 (このIDを非表示/違反報告)
神野 赤月 - とても泣いてしまいました。いい作品ですね! (2017年8月24日 7時) (レス) id: 1f93e928e5 (このIDを非表示/違反報告)
リュウア(プロフ) - 完結おめでとうございます。占いツクールの小説で物凄く久しぶりに泣きました。作者様にこのコメントが読んでいただけるか分かりませんが本当に面白く、何かを考えさせられる小説でした。とっても面白かったです。 (2017年5月28日 21時) (レス) id: ef6262a277 (このIDを非表示/違反報告)
暁(プロフ) - 何か主人公が理不尽すぎる気がします (2017年3月30日 21時) (レス) id: be64f1ec17 (このIDを非表示/違反報告)
ルアルア(プロフ) - いの近さん» コメントありがとうございます!私も、読者さんと同じ気持ちです!素敵と呼ばせてもらえる主人公と松野兄弟が書けて良かったです!最後までありがとうございました。 (2017年1月22日 11時) (レス) id: 095eb051dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルアルア | 作成日時:2016年10月23日 18時