幸せ39 ページ46
洞窟の中はやはり暗い。
女の人は相変わらず優しく笑って、俺の手を引いていく。
何だか、すごくフワフワした心地よさがある。
いい人、なんだろうなぁ___。
“…ふふっ。”
「?どうしたの?」
“いいえ。本当にあの子によく似ているなと思って。”
「あの子?」
“私の息子です。”
「子供がいるの?」
“ええ。あなたにそっくりな。”
「へぇー。」
“今はもう、一緒には居られない身ですが。”
「どうして?」
そう言うと、女の人は少し悲しそうに笑った。
“血が___、違いすぎたのでしょうね。
こうなることは覚悟してたはずなのに。
いざ離れてみると、恋しくて、愛しくて____。”
「…親子、なんでしょう?」
“ええ。この世でたった一人の、大切な息子です。”
「会えないの?」
“そう、ですね…。
悲しいけれど。”
「うん。悲しい、ね…。」
親子なのに会えないって、どんな気持ちなんだろう。
やっぱり寂しいよな。
親なら子が心配だろうし、
こんなに愛してくれる親なら、子供の方だって____...
あれ?
親子・・・?
そう言えば、俺にも・・・
「・・・?」
“…貴方にも、いるでしょう?
大切な、唯一の家族が。”
「家族・・・。」
大切な・・・
唯一の・・・
家族・・・?
そこまで考えた途端、思考が、眠気の濁流にのまれた。
「っ…」
“A!?”
余りの眠気に、その場で蹲ってしまう。
ああ、ダメだ。もう目も開けていたくない。
“A、もう少し、もう少しですから頑張って下さい。
ほら、もう出口はすぐそこですよ。”
確かに、もうあと数歩という所に出口がある。
でもダメだ、これ以上はもうダメだ。
眠いんだ。寝かせて…。
“A…。
家族が、貴方を待っていますよ。”
「!!」
『A―!』
「リクオ・・。」
『A♪』
「母さん…。」
『おーA。』
「じじい…。」
『若!』『A様!』
「首無、みんな…。」
『A。』
「・・・お、やじ…。」
ああ、そうだ。
俺の、大切な、唯一の__
「…帰る。
家族の所に、帰る。」
そう言った途端、眠気は消えた。
真っ直ぐに、立ち上がる。
手を引いてくれた女の人は、優しく微笑んで
俺を出口へ導いた_____。
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泪(プロフ) - 凛さん» 久々にこっち覗いてみたらコメント来てました…。遅くなってすみません!主人公の容姿は、今はまだ小学生なのですが、鯉伴に似た真っ黒な癖のある髪を肩につかない程度に伸ばしてます。山吹色の瞳も父親譲り。身長は平均位です。でも体重は軽いですよ。細身な子です。 (2018年5月2日 23時) (レス) id: e487e4bccc (このIDを非表示/違反報告)
凛 - なんか文がごちゃごちゃになってますね(汗)すいません (2017年12月10日 21時) (レス) id: 3c998681bb (このIDを非表示/違反報告)
凛 - 読ませてもらってます!また、更新してもらえると嬉しいです♪あと、主人公の容姿をよろしければ詳しく教えて貰えたらと思います。 (2017年12月10日 21時) (レス) id: 3c998681bb (このIDを非表示/違反報告)
泪(プロフ) - アキラさん» お、お早い!!楽しみにしてもらっているのが伝わってうれしいです!!今後はもっと早く更新するので、ぜひ続編も見に来てください! (2017年4月10日 15時) (レス) id: 554fdb0399 (このIDを非表示/違反報告)
泪(プロフ) - NoiSeさん» 遅くなってしまいました!!今後はもっと早く更新するのでお願いします (2017年4月10日 15時) (レス) id: 554fdb0399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:泪 | 作成日時:2016年8月23日 0時