幸せ？25 ページ32
慣れ親しんだその声に振り向けば
心底驚いたような
どこか悲しそうな
初めて見る父の顔があった。
リクオ「おとーさん！」
リクオはいつものように大好きな父に駆け寄る。
あの少女の手を引いて。
リクオ「遊んでくれたの！
このおねーちゃんが！」
鯉伴はその少女をじっと見ていた。
信じられないものを見るような目で。
けれど
鯉伴はそっと、その少女の手をとった。
少女は嬉しそうに笑った。
リクオも楽しそうな笑顔を絶やさない。
そんな2人に当てられたのか、鯉伴も険しい顔を微笑みに変えた。
A以外の誰もが、幸せそうだった。
この幸せな場所に、自分だけが取り残された感覚。
まるで己が異物のように感じた。
普段なら自分が居る場所に
今は名も知らぬ少女が居座っている。
それは幼心ながらの嫌悪や嫉妬ではなく
単純な恐怖だった。
だめだ。
そこに、そのこがいちゃ、だめだ。
うばわれる。
なにかが。
おれの大切ななにかがうばわれてしまう。
目の前がくにゃりと歪みそうになる。
伸ばそうとする手も
駆け出そうとする足も
叫ぼうとする声すらも
何もかもが憚られる。
リクオ「あ、あれ何だろう！」
ぐいっ、と引っ張られた。
リクオがいつものように自分を連れ出そうとしている。
いつもならしっかりと握って離さない
大切な大切な弟の、小さな手を。
けれど
ぱしんっ
リクオ「え…？」
驚いた、それでいて泣きそうなリクオの顔に
すぐさま駆け寄って、慰めてしまいたくなる。
けれどAはそれを押さえ込んで走り出した。
色彩のない花の群れに姿をくらませた
父と少女を追って_______。
「七重八重 花は咲けども山吹の」
やめて、親父。
「実の１つだに なにぞかなしき____。」
いなくならないで_______
「親父ーーーーっ！！」
ようやっと出た叫びは
無色の花を撒き散らした。
舞い落ちていく花びらの中
Aは、目を見開いた。
ずぶり
少女の持つ錆びた刀に胸を貫かれ
ゆっくりと、倒れ落ちる父
その父を中心にひろがる
"赤”
「ぅあ…、あぁ、っ、…ぅ、あ゛ああああ！！」
悲痛な鳴き声をあげるAを
少女が、嘲笑っていた____。
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泪(プロフ) - 凛さん» 久々にこっち覗いてみたらコメント来てました…。遅くなってすみません！主人公の容姿は、今はまだ小学生なのですが、鯉伴に似た真っ黒な癖のある髪を肩につかない程度に伸ばしてます。山吹色の瞳も父親譲り。身長は平均位です。でも体重は軽いですよ。細身な子です。 (2018年5月2日 23時) (
レス) id: e487e4bccc (このIDを非表示/違反報告)
凛 - なんか文がごちゃごちゃになってますね（汗）すいません (2017年12月10日 21時) (レス) id: 3c998681bb (このIDを非表示/違反報告)
凛 - 読ませてもらってます！また、更新してもらえると嬉しいです♪あと、主人公の容姿をよろしければ詳しく教えて貰えたらと思います。 (2017年12月10日 21時) (レス) id: 3c998681bb (このIDを非表示/違反報告)
泪(プロフ) - アキラさん» お、お早い！！楽しみにしてもらっているのが伝わってうれしいです！！今後はもっと早く更新するので、ぜひ続編も見に来てください！ (2017年4月10日 15時) (レス) id: 554fdb0399 (このIDを非表示/違反報告)
泪(プロフ) - ＮｏｉＳｅさん» 遅くなってしまいました！！今後はもっと早く更新するのでお願いします (2017年4月10日 15時) (レス) id: 554fdb0399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：泪 | 作成日時：2016年8月23日 0時
