【奴良組】この手の中に幸せを。【ぬらりひょんの孫/男主】

幸せ11 ページ17

………






スタスタ…







……………








ガラッ








…………………









毛倡妓「若、もう朝ですよ。起きて下さい。」






もぞもぞ…






スヤァ…








毛倡妓「こら！若様！！」



「うぅ〜………。」







毛倡妓の声に、Aは更に身を縮めて布団の奥へと潜り込んだ。




只今朝の10時半。


朝に弱いAにとっては、まだ早い時間である。






毛倡妓「ほら若様！

早く起きなきゃ朝ご飯食べれませんよ。」



「朝はいぃ〜…。」



毛倡妓「ダメですよしっかり食べなきゃ。

三食きちんと食べなきゃ、大きくなれませんよ！」



「いぃもん…。横に伸びてくから…。」



毛倡妓「それじゃただの肥満です！;;



もう…。

いいんですか若。




そんなんじゃ……」







毛倡妓は一呼吸置いて

こんもりと盛り上がった布団へ言い放った_______。







毛倡妓「カッコいいお兄ちゃんになれませんよ。」









ビクゥッ、と

布団の盛り上がりが震えて固まった。





そして暫くすると




眠そうに山吹色の瞳を漂わせ

のろのろとAが布団から這い出してきた。







毛倡妓「おはようございます若。」



「ん…。おはよぉ…。」






お兄ちゃん心から頑張って起きてきたが

まだまだ眠気は覚めないようで、布団にペタンと座り込む。




毛倡妓はそんな可愛らしい様子にクスクスと笑うと

懐から紅い櫛を取り出して、Aの後ろに腰掛けた。






毛倡妓「今日も元気な髪ですね。」



「………親父のせーだ。」






ピョンピョンとあらぬ方向へ飛び出す

鯉伴似のAの癖っ毛を


丁寧に丁寧に整えていく。




Aを起こして寝癖を直してあげるのは

毛倡妓の日課だ。




勿論髪に詳しく手先が器用

更にAが懐いているというのも理由だが、




一番の理由は、


寝起きのAは、女性やリクオでなければ

手がつけられないほどの低血圧だからだ。


奴良組の男達は、だいたい被害に遭っている。






毛倡妓「はい、おしまいです。

今日もカッコいいですよ。」





そう笑う毛倡妓に整えられた髪を鏡で確認して

Aはようやく立ち上がった。





「ありがとう！




紀乃っぺも、今日もすっごくキレーだよ！！」






そう言って元気に飛び出していくAに






毛倡妓「…本当に、鯉伴様そっくりだわ。」





毛倡妓は、照れた呆れ声を漏らしたのだった_______。

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