似た者同士。【月永レオ】 (ページ13)

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…なんなの、あいつは。
いきなり『おれの』なんて言われても、意味が全くわからないんだけど。

悶々とした気分で3-Bの教室に入る。すると、横から誰かに名前を呼ばれた。

「あ、いたいたっ、みょうじ！」

「……？」

話しかけてきたのは、クラスメイトの男子だった。
…誰だっけ、という目で見ると、男子は慌てたようにこう言い加えた。

「あれ、もしかして覚えてない？前作詞頼んだじゃん、ほら、一年前…」

「……あ～……！うん、思い出したよ、そういえば作詞した…」

思い出した。
一年前私は、こいつから…作詞してくれって、頼まれたんだ。
結局、その曲は使われなかったから…聴けなかったんだけど。
あんまりこの人、好きじゃないんだよな。現に詞に何回もケチつけられたし。

「んでさ、本題に入るけど。また作詞してくんない？」

「嫌だ」

すぐに答えると、一瞬そいつの動きが止まった。
そして、ひきつる笑顔で私に再度、訪ねてくる。

「んん…？ごめん、何言ったか聞き取れなかったんだけど…」

「嫌だ、って言ったの。それだけ。」

この人、今までそういうこと言われたこと無いんだろうな。
お坊っちゃんか？…けど、嫌なものは嫌だ。私は詞にケチつけられるのが嫌いなの。

そう言って私が横を通ろうとしたら、彼はいきなり私の腕を掴んできた。

「…い…っ！？」

「いいから、黙って書けよ」

「は…？…っあ、ちょっと…！？」

そして、教室から外に連れ出される。
下校時刻間際だったためか、人は少なくて。…というか、廊下に誰もいなくて。
私はそのまま、ずるずると引きずられてしまった。