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じゃあな、愛してるよ、なんて言葉をかけられて、彼は私の部屋から去った。
別の女のところに行くんだろう、わかってる。私の部屋に充満した男物の香水の匂いが、痛いし気持ちが悪かった。
私の匂いを消す用の香水。何回も使ってるよね。
知ってるんだよ、全部。浮気してることも、私以外に他の女がいることも。
悔しくて堪らない。私の他に愛されてる女もみんな、みんな、憎い。
「……あー…」
引っ掻かれた傷、叩かれて赤くなっている私の頰と足。
もう少ししたらあざになるよな、なんて思いながら、私はソファーの上を片付けた。
しばらくすると、私の携帯に着信が入る。
誰だろうと思い見ると、そこには…幼馴染みの、名前があった。
無視するともれなく、スタンプテロが実行されるので、私は仕方なく通話ボタンを押した。
「もしもし」
『別れたか、あの男と』
「別れてないし。…何の用?まさか、それ聞くためだけに電話してきたんじゃないよね?…レオ?」
幼馴染みの名を、私は呼ぶ。
彼の名前は、月永レオという。生まれたときからずっと一緒で、『きょうだい』みたいなものだ。
彼はいつも、私の心配ばかりする。世話焼きなのか、お節介なのか。それともただ単に、放って置けないという理由からか。どれにしてもめんどくさい。
『…いい加減別れろよ、壊れても知らないぞ』
「うるさい。てかあんたさ、いつまでも私に固執してないでそろそろ彼女作った方がいいんじゃない?世界が変わるよきっと。」
『わはは、よけーなお世話!おれはおまえにしか興味ないから、多分この先もずっと世界は変わんないな!』
「あっそ。ねぇもう切っていい?今あいつが帰ったばっかでシャワーも浴びれてないんだよね」
はぁ、とため息をついて、通話終了ボタンを押す。
…あ。返事待たずに切っちゃった。まぁいいや。
私はスマホをベッドに投げると、そのまま風呂場へと向かった。
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マリー(プロフ) - ただ一言と言っておいてまた来ました。とすごく気になるストーリーです。頑張ってください! (2017年9月14日 23時) (レス) id: 5afa144aee (このIDを非表示/違反報告)
マリー(プロフ) - ただ一言!応援してます! (2017年9月4日 21時) (レス) id: 5afa144aee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:睦月 | 作成日時:2017年9月2日 1時